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Oracle VM 3.xでのOracle VM Managerとの付き合い方

Oracle VMには、Oracle VM Managerと呼ばれるWebベースの管理コンソールを提供するWebアプリケーションが提供されており、これを使用することで、VMの管理をWebブラウザのGUIで行うことができるようになります。 Oracle DatabaseにおけるOracle Enterprise Managerの位置づけに似ているといえばわかりやすいでしょうか。

しかし、(私が管理する)コーソル検証環境ではあまり積極的にOracle VM Managerを使用していません。

その理由は以下のとおりです。

  • (使用者側ではなく管理者側に偏った判断ですが) Oracle VM Managerが提供するGUIでVM管理を行うことに利点が見出せない。できるだけCUIベース(xmコマンド、汎用UNIXツール)でVM管理を行いたい
  • Oracle VM Managerを使用するための構成上の制約を受けたくない(UUIDベースのファイル構成、記憶域リポジトリの制約など)
  • (渡部の理解しきれていないだけかもしれませんが・・・) Oracle VM Managerが提供する機能が不足している。VMバックアップ、VMスナップショットがないはず。
  • Oracle VM Managerを導入することで実現できる高可用性機能(VMマイグレーションなど)が不要である。
  • Oracle VM Manager, Agentという管理用のレイヤが挟まることによる、運用上の制約やトラブルシュートにおける不透明さを排除したい。
  • Oracle VM 2.x環境で構築したVMを、簡単にOracle VM 3.x環境に移行したい。そのためには、Oracle VM Managerを使用することによる構成上の制約が邪魔になる。

コーソル検証環境(Oracle VM 3.xベース)では、CUIベースのVM管理方法を基本的に使用し、適宜状況に応じてOracle VM Managerを用いたGUIベースのVM管理方法を使用する形をとっています。

CUIベースのVM管理方法とは、Oracle VM ServerのDom-0にログインして、Dom-0上でxmコマンドや汎用UNIXコマンドでVM管理を行う方法をさしています。たとえば、xm createでVMを起動したり、 ddコマンドとxm block-attachで仮想ディスクを追加したりするやり方です。

xm_command_example.jpg

このVM管理方法はOracleVMのコア部分であるXenが提供しているやり方ですが、OracleVMでは3.xよりこの方法がサポート対象外(一部コマンドを除く)となったことに注意が必要です。Oracle VM 3.xでOracleのサポートが必要な場合は、VMの管理方法としてOracle VM ManagerのGUIを使用する必要があります。Dom-0にsshなどでログインすると、以下のメッセージが表示されることからも、それは分かります。

Warning: making manual modifications in the management domain
might cause inconsistencies between Oracle VM Manager and the server.

※:サポート契約をお持ちの方のみ上記ドキュメントを参照できます。

弊社では特にOracle VMに関するサポート契約を結んでおらず、サポート契約を結ぶ計画も当面ないため、CUIベースのVM管理方法がサポートされないことによる大きな問題はありません。

VMの構築や起動停止などの通常のVM管理作業では、CUIベースのVM管理方法を使用していますが、以下の状況ではOracle VM Managerを使用しています。

  • Oracle VM Serverの管理: サーバの追加など
  • ネットワークの構成を行う場合 : Oracle VM 3.xから、ネットワークの設定は基本的にOracle VM側で行う位置づけになっています。おそらく、工夫すればOracle VM 2.x同様にDom-Oで設定を行うことも可能でしょうが、見通しが悪くなる可能性があるので、この方法を用いていません。
  • 一部のVMの管理 : Oracle VM Serverに配置したVMのうち、一部のVMをOracle VM Managerで管理しています。Oracle VM Manager管理対象外の大多数のVMについては、CUIベースで管理しています。
  • CUIベースの管理方法に慣れていないユーザーがVMを新規作成したい場合: GUIベースの操作体系は、初心者には有効です。

上記のとおり、Oracle VM Managerは用途を絞って限定的に活用している形になりますが、以下の点が改善されれば積極的にOracle VM Managerを使用するかもしれません。

  • Oracle VM Managerのファイル構成に準拠していないVMを、簡単にインポートできるようになる
  • OCFS2 reflinkを使用したVMのバックアップ、リストアができるようになる

プロフィール

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渡部 亮太

・Oracle ACE
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g, 12c 他多数

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