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LifeKeeperを用いたOracleのHAクラスタ構成

Oracle ACEの渡部です。 19cでのSE-RAC廃止に伴い、Oracle SE2で高可用性を実現する方法が求められています。

本記事では、LifeKeeperを用いたOracleのHAクラスタ構成について概要をまとめます。なお、Oracle Database Standard Edition 2を前提とします(Oracle Database Enterprise Editionでは19cでもRACが使用可能なため)。

SIOS LifeKeeperとは

SIOS LifeKeeperとは、いわゆるクラスタリングソフトウェアであり、システムをクラスタ化することでノード障害などの障害への耐障害性を高めるための製品です。 LifeKeeperを使用すると、OracleをHAクラスタ構成にすることができ、耐障害性を高めることができます。端的には以下の利点が得られます。

  • インスタンス障害発生時に速やかにインスタンスを再起動し、Oracleのサービス提供を継続できる。
  • HW故障などによるノード障害(=サーバー障害)の発生時に、待機系ノードに速やかに切り替えて、Oracleのサービス提供を継続できる。
  • NIC故障などによるネットワーク障害の発生時に、待機系ノードに速やかに切り替えて、Oracleのサービス提供を継続できる。
  • HWメンテナンスなどによるサーバーの計画停止中に、待機系ノードでOracleのサービス提供を継続できる。

SIOS DataKeeperとは

SIOS LifeKeeperの派生製品として、SIOS DataKeeperがあります。DataKeeperは、ソフトウェアベースのディスクミラー技術で、疑似的に共有ディスクをエミュレートする役割を持ちます。LifeKeeperとDataKeeperを組み合わせることで、共有ディスクが使用できない環境でも、Oracle HAクラスタ構成を実現できます。

LifeKeeperの製品体系 / "Protection Suite"とは?

SIOS LifeKeeperの製品体系はすこし複雑で、いわゆる「購入の対象となるパッケージ」として、"LifeKeeper ... Standard/Advanced", "Protection Suite" 、"VM Duo"などがありますが、今回は技術面についてフォーカスするためこれらの違いには触れないことにします。

また、技術面に限定すれば、マニュアルや製品資料における"Protection Suite"は、"LifeKeeperおよびその関連製品"と読み替えて理解すればよいようです。本記事でもこの前提にたって、"Protection Suite"という用語は使用せず、"LifeKeeper"または"DataKeeper"という用語に統一します。

LifeKeeperの製品体系の詳細については、以下URLを御覧ください。

Linux版 LifeKeeperとWindows版LifeKeeper

LifeKeeperには、Linux版(LifeKeeper for Linux)とWindows版(LifeKeeper for Windows)があります。基本機能は同じですが、細かいところでは差異があります。バージョン体系も別です。

2021年6月24日時点の最新バージョンは以下の通りです。

  • LifeKeeper for Linux : v9.5.1
  • LifeKeeper for Windows : v8.7.2

LifeKeeperによるOracle HA構成の導入要件、対応環境について

LifeKeeperを用いてOracle HAクラスタ構成を実現するための主な要件や対応環境についてまとめておきます。

  • 対応Oracle Databaseリリース
    • LifeKeeper for Linux v9.5.1: 12c, 12c R2, 18c, 19c
    • LifeKeeper for Windows v8.7.2 : 11g R2, 12c, 12c R2, 18c, 19c
  • 対応する構成: オンプレミス(物理環境), 仮想化環境, パブリッククラウド
  • 対応パブリッククラウド: Oracle Cloud Infrastructure, Amazon EC2, Microsoft Azure など多数

典型的な構成パターン

LifeKeeperは様々な構成に対応していますが、典型的な構成パターンを以下にまとめます。

  • オンプレミス(物理環境)で共有ディスクを用いた構成
  • パブリッククラウドでDataKeeperを用いたディスクミラーを用いた構成

なお、パブリッククラウドで周辺環境の構成手順などの詳細は、パブリッククラウドの種類に応じて異なります。

  • Amazon EC2: EC2 ARKの導入が必要など
  • Microsoft Azure: 内部ロードバランサが必要、iptablesのNATルール追加が必要など

Oracle HA構成におけるORACLE_HOME配置

LifeKeeperに限定された話ではありませんが、Oracle DatabaseでHA構成を取る場合、ORACLE_HOMEをどこに配置するかについては以下の2つのパターンがあります。

  • ORACLE_HOMEを各サーバに配置
  • ORACLE_HOMEを共有ディスクに配置

LifeKeeperによるOracle HA構成の導入手順について

以下の資料が参考になります。

LifeKeeper for Linux

LifeKeeper for Windows

LifeKeeperによるOracle HA構成の導入するにあたり、 技術支援が必要な場合は弊社までお声がけくださいませ。時間制での支援も可能です。安価な価格設定で好評いただいています。

なお、コーソルはLifeKeeperのパートナー企業です(SIパートナー)。

Oracle SEHAとの使い分けについて

Oracle HAクラスタ構成を実現する方法として、LifeKeeperの他にOracle SEHAがあります。

19c新機能 SEHA / GIベース シングルHA構成 – SE2-RAC廃止対応

Oracle SEHAとLifeKeeperは以下の基準で使い分けるのが良いと考えています。

  • Oracle用途で共有ディスクを使用できるかどうか
    • 使用できる → Oracle SEHA
    • 使用できない(諸所の理由で調達不可、パブリッククラウド環境)→ LifeKeeper (DataKeeperと組み合わせて)
  • データベースサーバー上で、別のアプリケーションが動作する
  • Oracleのリリースが19.7以後か、未満か
    • 19.7以後 → Oracle SEHA
    • 19.7未満 → LifeKeeper

Oracle Databaseに関するご相談はコーソルへ

コーソルはオラクル製品および関連製品を取り扱っています。

  • オラクル製品全般 (Oracle Database, Oracle Cloud, Oracle GoldenGate, Oracle WebLogic Serverなど)
  • SharePlex for Oracle
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  • SIOS LifeKeeper
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  • Spotlight for Oracle / Spotlight for SQL Server
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  • PISO
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これらのオラクル製品および関連製品について、販売・導入・運用を様々な形でご支援します。お困りの際はぜひ弊社にお声がけくださいませ。

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基幹系DB運用支援および製品サポートについては、3拠点体制による24時間365日対応が可能です。

プロフィール

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渡部 亮太

・Oracle ACE
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g, 12c 他多数

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