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  • [7]技術関係
  • 2017.10.23

【Oracle OpenWorld 参加報告】18c自律型データベース発表!

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こんにちは!Oracleサービスグループの伊藤です。今回から2回にわたって、10/1~5にサンフランシスコで開催されたOracle OpenWorld 2017 in San Francisco(以下、OOW)の参加レポートをお届けします!


「Keynote にて世界初の自律型データベース発表!」

今年のOOWは全世界より6万人のユーザーやパートナー、開発者がサンフランシスコに集まり、日本からも約400人が参加しました。コーソルでは毎年社内公募により選出された2名がOOWに参加し、Twitterからリアルタイムでの現地レポートをしています。

2017年および過去のツイートはこちらから。
コーソル社員によるOracle OpenWorld 2017 Tweetsまとめ
コーソル社員によるOracle OpenWorld 2016 Tweetsまとめ
コーソル社員によるOracle OpenWorld 2015 Tweetsまとめ
コーソル社員によるOracle OpenWorld 2014 Tweetsまとめ
コーソル社員によるOracle OpenWorld 2013 Tweetsまとめ
コーソル社員によるOracle OpenWorld 2012 Tweetsまとめ

今回は私と、同じくOracleサービスグループ所属の石川が参加してきました。ブログ第1回ではOOWで発表されたばかりのホットな情報をご報告します。


■Oracle Database 18c Autonomous Databaseの発表
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今回のOOWで一番の発表と言えば、Oracle Database 18cのAutonomous Database(自律型データベース)です。そもそも「18cって何?」「12の次は18なの?」と言う方もいることと思います。現在最新のOracle Database 12c Release 2の次のメジャーバージョンが「18」になる事が、今年の8月に発表されていました。そしてOOWでは、初日のKeynoteにて、創業者でCTOのラリー・エリソン氏から、その「18c」の中身が発表されたのです。

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「Autonomous Databaseの概要」

18cのAutonomus Databaseは世界初の自律型データベースとして、プロビジョニング、チューニング、バックアップ、パッチ適用、アップグレードを自動で行います。セキュリティパッチはダウンタイムなしでのリアルタイム適用を行い、計画外停止を含め99.995%のSLA(年間で30分以内の停止時間)を掲げています。エリソン氏はAmazonのSLAはデータベースアップグレード等の計画停止や停電による計画外停止を例外としている点を指摘し、その可用性は実現されることがないと批判していました。

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「お得意のライバル叩き。AmazonのSLAを”口撃”。」

Autonomous Databaseでは、ポリシーを設定するだけで、あとは車の自動運転のようにデータベースが自動で判断し、運用を進めていきます。人間による管理が不要になる事で、ヒューマンエラーや内部犯によるセキュリティインシデントが無くなる効果が期待できます。まずは2017年12月にAutonomus Database for Data Warehouseがリリースされ、2018年6月にAutonomus Database for OLTPがリリース予定です。いずれもオンプレミス環境、Cloud atCustomer、Public Cloudで用意され、CloudのプラットフォームにはExadataが使われるということです。Cloud環境ではハードウェアリソースがオンラインで自動的に伸縮する機能もあり、リソース過剰な利用によるコストも抑制されます。Managedのデータベース(Cloudat Customer、Public Cloud)のライセンス体系にも変更があり、利用ボリュームによるディスカウントが設定されるとのことです。Enterprise Editionの最小単位となる1OCPU、ストレージ1TBが$300/月となっています。更に2018年度中にはNoSQL DatabaseとExpressDatabaseもリリース予定です。

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「ライセンス体系も刷新」

■現場視点での自律型データベース
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私は日頃、ミッションクリティカルなシステムでExadataを利用しているお客様の運用支援をしています。ステージングや開発環境も合わせると、インスタンス数は100超、DBサーバーだけでも20台を超えるシステムです。バックアップの設計、実装やパッチ適用作業から解放されるとしたら、空いた時間を他に回せる点で大変助かります。

しかしそれで「DBAの仕事がなくなるのか?」と言うと、答えは「ノー」です。例えば、アップグレードの作業は自動化されたとしても、影響調査、テスト、開発側との調整などDBAの仕事は他にも多々あり、むしろそちらに割く時間のほうが大きいかもしれません。ソフトウェアである以上は自動化の機能を含めて、想定外の事態(エラーや不具合)は起こり得ます。そんな時にトラブルシュート、復旧をするのも現場のエンジニアの役目です。

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「最新のExadata X7-2発見!」

また、もう一つの問題として、そもそも自動化の機能がユーザーに受け入れられるのかという懸念もあります。基幹系システム等では予期せぬ性能劣化のリスクを抑える為に、統計情報を固定化し自動オプティマイザ系のパラメーターも無効にしているシステムも少なくないのではないでしょうか。自律型データベースのインパクトは、12cで採用されたマルチテナント・データベース機能よりも大きく、受け入れるユーザー側にもシステムや現場の在り方の変化を求めるものかもしれません。

■今後のデータベースエンジニアの役割
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自律型データベースがデータベースエンジニアに与える影響として、ここでは私が感じた2つのことを挙げようと思います。

1つ目はデータベースエンジニアはより顧客の組織やシステムに寄り添った存在になる必要があるということです。運用自動化のポジティブな影響としては、作業(エリソン氏は「労働」と言っていました)が無くなる分、エンジニアが業務の幅を広げるチャンスです。その例として、エリソン氏のKeynoteの中で、今後のDBAの役割ではセキュリティが重要になってくるという話がありました。セキュリティは顧客のシステム、組織形態、また業界に応じた法体系など様々な要素を加味した設計や、各種セキュリティ製品・機能の知識が求められる、ハイスキルな分野です。

OraPub代表のクレイグ・シャルハマー氏のセッションでも、「セキュリティがクラウド時代のDBAのキャリアパスになる。そして、パフォーマンス問題が好きなDBAはきっとセキュリティも好きなはずだ」という興味深い発言がありました。

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「DBエンジニアの役割の変化について」

2つ目は運用においても、データベースエンジニアの存在価値が高まるだろうということです。データベースの自動運転化はユーザーから見ればブラックボックス化と同じ意味合いを持ちます。その為、ブラックボックス化したデータベースでトラブルが起きた際に、データベースのアーキテクチャを理解して適切な対処がとれるデータベースエンジニアの必要性は今以上に大きくなります。

しかしその一方で、チューニングやバックアップと言った、データベースを学ぶのにうってつけの題材が、自動化により実践の場が少なくなることは、エンジニアの育成にはマイナスだと感じています。つまり、「できる」データベースエンジニアの希少価値が今よりもっと上がるのではないかというのが、自律型データベースが与えるもう一つのインパクトだと思います。但し、常にDBAが現場に張り付く必要性は薄れ、「相談役」「保険型」のDBAサービスにニーズが出てくるかもしれません。

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「クレイグ氏のセッションより、世代別今後のキャリアは?」

とここまでは、「今後」と言っても少し先の変化になると思います。今は何よりもまず、私たちデータベースのプロフェッショナルが、18c Autonomous Databaseを正しく理解し、自動化の恩恵とリスクをフラットな視点で検証・評価すること、そして、それをユーザーに伝えていくことが第一歩になるのだと思います。

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「OpenWorldは年に1度のOracleの祭典!」

以上、OOWで発表されたOracle 18c Autonomous Databaseに関するレポートでした。
第2回レポートもお楽しみに!

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