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Oracle DB Tips

ORA-04030: ?バイトを割り当てようとしてプロセス・メモリーが不足しました。

01.ORA-04030エラーとはどのようなエラーか?

Oracle Databaseが提供する機能はオペレーティング・システム(OS)上で動作するプロセスにより実現されます。
各プロセスは処理に応じてOSからメモリ領域を獲得しますが、要求したサイズのメモリをOSから獲得するのに失敗した場合、ORA-04030エラーが発生します。

02.ORA-04030エラーのエラー出力例

ORA-04030: 2048バイト(sort subheap,sort key)を割り当てようとして
プロセス・メモリーが不足しています

エラーの数値、引数の意味は以下のとおりです。

2048                   割当てを要求したメモリのサイズ(バイト)
sort subheap           確保を試みたメモリ領域の種類
sort key               割当てを要求したメモリの用途

03.ORA-04030の一般的な発生要因と対処

ORA-04030は一般に以下の要因で発生します。

  • Oracle Databaseが動作するマシンで割当可能メモリが不足した
  • オペレーティング・システムの制限で割り当てに失敗した
  • Oracle の Bug

 

Oracle Databaseが動作するマシンで割当可能メモリが不足した

Oracle Databaseが動作するマシンの仮想メモリに空きが不足している状態で、Oracle Databaseがメモリを獲得しようとすると、OSがメモリの割当に失敗し、ORA-04030 が発生することがあります。
この場合、まずはOS側のツールやコマンドを使用して、Oracle Databaseを含め同一マシン内で動作するプロセスがそれぞれどの程度メモリを使用しているかを確認し、メモリの使用量が通常より多くなっているプロセスを特定することから調査を行います。
この調査を行うためには、日頃からサーバ上で起動しているプロセスの状態(数、CPU 使用状態、メモリ使用状態など)をモニタリングし、平常時と ORA-04030 が発生したタイミングの状態を比較できるようにしなければなりませんので、日頃からのモニタリングが ORA-04030 の問題解決には重要となります。
ORA-04030が発生したタイミングで、メモリを通常より多く使っているプロセスが Oracle Databaseのプロセスにあり、特にメモリを多く使うような処理を行っていなかった場合には、それを確認した資料(コマンドの出力結果や、モニタリング状況をまとめた表など)とアラートログ、トレースファイルをサポート部門に提示して調査を依頼してください。
また、Oracle 上ではメモリの獲得が可能な状態(memory_target等の限界までメモリが使用されていない状態)でOS側でメモリが枯渇するような状況は一般的には望ましくない構成となります。
もし、ORA-04030発生時に、マシン上の各プロセスのメモリ使用量が全て妥当な範囲であり、プロセス数にも異常がないようであれば、マシンのメモリ構成についての見直しも必要と考えられます。

オペレーティング・システムの制限で割り当てに失敗した

例えばソート処理等、PGA 上の領域を必要とする処理を多数のプロセスで実行するような場合、以下のようなOS側の制限で ORA-04030 が発生することがあります。

  • UNIX 系プラットフォームで、データベース管理者のデータ領域のサイズ(ヒープのサイズ)が制限されている
  • Windows プラットフォームで、pga_aggregate_target, sort_area_size パラメータが大きめの値に設定されていることにより、各スレッドが多くのメモリを消費し、(オペレーティング・システムレベルでの)プロセスに割り当て可能なメモリの上限に達してしまう

 

UNIX 系プラットフォームの場合、詳細はOSにより異なりますが、カーネルもしくはシェルにてヒープのサイズ制限を行うことができるため、こちらの設定により ORA-04030 が発生している場合には、制限値を上げるか、サーバプロセスが使用可能なメモリ領域を削減するよう対処が必要です。
Windows プラットフォームの場合、oracle.exe が Oracle プロセスの実行モジュールとなりますが、32-bit 環境では oracle.exe が使用可能な最大仮想メモリアドレス空間は 2GB(4GT を使用している場合は 3GB)と設定されています。
こちらの制限はOSレベルのものですので、サーバプロセスが使用可能なメモリ領域を削減するような対処が必要です。

Oracle の Bug

メモリーリークなどのOracleのBugにより必要以上にメモリ空間が使用され、ORA-04030が発生する場合もあります。
継続的なモニタリングで、特定のバックグラウンド・プロセスでメモリ使用量が異常に多いものがある、メモリの使用量が単調増加となっている、といった様子がORA-04030発生前に確認されることもあります。
オペレーティング・システム上のメモリの空き容量も十分にあり、Oracleでは特に負荷の高い処理を行っていない状態であっても、ORA-04030が頻繁に発生する場合には、アラートログ、トレースファイルをサポート部門に提示して調査を依頼してください。
または、可能であれば新しいPatchset Releaseへのアップグレードも検討して下さい。Bugが修正されている場合もあります。

04.ORA-04030に関するFAQ

ORA-04030の発生に備えて、日頃からどのような情報をモニタリングすると良いですか?

ORA-04030発生についての調査は、ORA-04030発生のタイミングでのメモリの使用状態をオペレーティング・システムとOracleの両方の視点から確認します。
このため、日頃から定期的に以下のような情報を取得しておくことで、ORA-04030発生のタイミングの状態を逃さず捉えることが可能です。

  • (UNIX 系プラットフォームの場合)「vmstat」「top」「ps -efl」などのメモリの使用状態が確認できるコマンドの出力結果
  • (WINDOWS プラットフォームの場合)パフォーマンス・モニタの「oracle.exe の Virtual Bytes」
  • (Oracle側)V$PROCESS、V$PGASTAT などの Oracle プロセスのメモリ使用量が確認できる動的パフォーマンス・ビューの出力結果

 

共有サーバ接続でもORA-04030は発生しますか?

共有サーバ接続と専用サーバ接続では、UGAを獲得するメモリ空間が異なります。
(専用サーバ接続・・・OSメモリより獲得  共有サーバ接続・・・SGAより獲得)
ORA-04030の原因になりやすい、ソート処理等の大きなサイズのメモリはUGA内に獲得されるため、共有サーバ接続を使用している場合では、ORA-04030は発生しにくいと考えられます。
ただし、共有サーバ接続の場合は絶対にORA-04030が発生しない、というわけではありません。

05.キーワード

ORA-04030 ORA-04030 PGA pga_aggregate_target メモリー リーク ORA-27300 ORA-27301 ORA-27302

この記事の監修者

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舛井 智行 (ますい ともゆき)

営業本部 企画&マーケティング部 次長

《資格》

Oracle Master Gold、Oracle RAC Expert、Linux Expert、LPIC Level1、Dbvisit Standby Certified Associate、基本情報技術者

《略歴》

2004年コーソル入社。2019年まで一貫してOracle Databaseの設計・構築・運用のサービス提供に従事。リモートDBAやリモート監視のサービス化、働き方改革プロジェクトで人事制度改革を手掛ける。2019年からライセンス販売強化のため企画&マーケティング部に異動。DbvisitやToad、DPAの取扱開始、販売促進活動を推し進め、ライセンス販売事業の売上拡大に注力中。

《主な著書》

オラクルマスター教科書 Gold DBA Oracle Database AdministrationⅡ
オラクルマスター教科書 Silver DBA Oracle Database Administration I
オラクルマスター教科書 Silver SQL Oracle Database SQL
Oracleの基本 ~データベース入門から設計/運用の初歩まで
プロとしてのOracle入門
Oracle Database 10g Oracle Enterprise Manager 逆引きクイックリファレンス

《担当者様からの一言》

コーソルはOracle Databaseの技術力において日本有数の知見を有すると自負しています。Oracle Masterの最高峰資格である『Oracle Master Platinum』の取得者数も日本No.1です。Oracle Databaseのことはもちろん、それ以外のDBについてもリモートDBAサービスを始めとした様々なサービス、製品を駆使してお客様のお困りごとを解消いたします。お困りごとがあればコーソルまでご相談ください。

監修者の写真

峯岸 隆一 (みねぎし りゅういち)

インフラソリューション部 市ヶ谷クラウドサービスチーム シニアエキスパート

《資格》

Oracle Master Gold、ORACLE MASTER Platinum、Oracle RAC Expert、
Oracle Database Cloud Service Oracle Infrastructure as a Service Cloud 2017 Implementation Essentials、
Oracle Cloud Infrastructure 2018 Architect Associate、
Oracle Cloud Infrastructure 2019 Architect Professional、
AWS Certified Solutions Architect – Associate、OSS-DB Silver、
MySQL 5.6 Database Administrator、基本情報技術者、テクニカルエンジニア(データベース)

《略歴》

2006年コーソル入社。2021年までOracle Databaseを中心にMySQLやGoldenGateなど、多岐にわたる製品のサポート業務に従事。2021年から企画&マーケティング部に異動し、Nutanix NDBサービス化、Qlik Replicateサービス化、AWS、OCIなど様々な製品のサービス化、クラウド環境上の製品検証、ブログ執筆を手掛ける。2023年からOCI技術に磨きをかけるべくOCI基盤の設計・構築業務を遂行中 。

《主な著書》

オラクルマスター教科書 Gold DBA Oracle Database AdministrationⅡ
オラクルマスター教科書 Silver DBA Oracle Database Administration I
オラクルマスター教科書 Silver SQL Oracle Database SQL  Oracleの基本 ~データベース入門から設計/運用の初歩まで

《担当者様からの一言》

コーソルはOracle Database製品および周辺製品において特化した技術力を有している会社です。また、育成にも力を入れており、新卒などOracle Databaseの知識がないエンジニアでも数年でOracle Master Platinumを取得するほどのエンジニアに育て上げることに成功しています。クラウド分野(AWS、Oracle Cloud)にも積極的に進出しておりますので、Oracle Databaseに関するサービスをご要望であればプラットフォーム問わず対応できるコーソルにご連絡下さい。