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Oracle Database 23aiがクラウド限定でリリース。Free版も

Oracle ACE Proの渡部です。 Oracle Database 19cに続くLong Term Support Releaseである Oracle Database 23cがOracle Database 23aiに名称が変更され、リリースされています。

2024/05/03時点のリリース対象は以下です。

  • パブリッククラウド(OCI)の一部サービス (Base Database Service, Exadata Database Service)
  • Free版 (Oracle Database 23ai Free)

残念ながら、オンプレミス版Oracle Database 23ai はまだリリースされていません。

Oracle Database 23aiとはどういう位置づけのリリースか?

Oracle Database 23aiの位置づけについて以下に整理します。

長期間サポートとしての23ai

23aiは、年次リリースモデルにおける"Long Term Support Release / Long Term Release"として位置づけられ、他のリリースよりもPremier Supportの期間が長いです。また、3年間のExtended Supportが提供されます。

2024年5月時点で、存在するLong Term Support Releaseは、23aiと19cのみです。

年次リリースモデルについては、日本オラクルさまによる以下の資料を参照ください。

関連記事:オンプレミス版Oracle Database 23aiのリリース予定日が後ろ倒しに

Long Term ReleaseとInnovation Releaseのサポート期間

Long Term Release(23ai, 19c)とInnovation Release(21c)のサポート期間を比較します。

                               Premier Support    Extended Support
                               -----------------  ------------------
Long Term Release (23ai, 19c)  5年間              3年間
Innovation Release (21c)       2年間              なし

Oracle Database 23aiのサポート期間 (2024年5月時点)

2024年5月時点での、23aiのサポート期間は以下のとおりです。

  • Premier Support終了: 2029年4月
  • Extended Support終了: 2032年4月

サポート期間は今後変更される可能性があります。サポート期間の最新情報は以下の文書を参照下さいませ。

関連記事:Oracle Databaseを無償で使う方法いろいろ

非CDB構成がサポート対象外となる初めての長期間サポートリリース

以前からアナウンスされていましたが、Oracle 21cから、とうとう非CDB構成(non-CDB構成、従来の構成)がサポート対象外となりました。以下は21cのDBCAの画面ですが、確かに"Create as Container Database"(日本語環境では「コンテナ・データベースとして作成」)のチェックが外せないようになっています。

よって、Oracle 23aiは非CDB構成がサポート対象外となる初めての長期間サポートリリースとなります。言い換えると、Oracle 23aiでは、マルチテナント構成(CDB構成)しか使用できません。

2024年5月時点の注意点

パブリッククラウド(OCI)の一部サービスでのみ導入可能

2024年5月時点で、23aiの正式版(「Free版ではない」という意味)は、パブリッククラウド(OCI)向けのみリリースされている状況です。

加えて、OCIの全サービスで使用できるわけではなく、以下のサービスでみ使用可能です。

  • Base Database Service (旧 Database Cloud Service)
  • Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure (旧 Exadata Cloud Service)
  • Exadata Database Service on Cloud at Customer

すなわち、オンプレミス環境や上記以外のOCIデータベースサービスではまだ使用できません。いずれリリースされると思いますので、もう少し待ちましょう。なお、評価や検証、開発などの本番環境以外の使用であれば、Free版(後述)を使うのもよいです。

なお、リリース状況の把握には以下の文書を参考にしました。 Azureについては情報がなく、判断できませんでした。

一部機能制限あり - Base Database Service

https://docs.oracle.com/en/cloud/paas/base-database/about/index.html#GUID-80C0D1B2-1280-4D27-A60F-F85D7F86CD63__GUID-512B77D4-5D1F-4D00-B893-39DCA7798F13 の"About Oracle Base Database Service → About Oracle Database 23ai → Limitations"に記載がありますが、2024年5月時点で以下の機能は使用できません。

  • Armベース Ampere VM.Standard.A1.Flex シェイプ
  • 旧バージョンから23aiへのアップグレード(DB, GI)

なお、2023年11月に23cがクラウド限定でリリースされたときに課せられていた以下の制限は撤廃されました。

  • Oracle Database Standard Edition
  • 複数ノードのRAC DB System
  • Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Service (ZRCV)へのバックアップ
  • データベース・ソフトウェア・イメージ(いわゆる「ゴールドイメージ」)
  • OCI Vault統合

23aiで導入された主な新機能

23ai(23c)で導入された主な新機能については、日本オラクルさまによる以下のセミナー資料がとても参考になります。

また、23c→23aiという名称変更から分かるとおり、Oracle Database Release 23の"マーケティング的"なキーワードは"AI"であり、AI Vector Search機能も追加されています。

23aiの廃止機能・非推奨機能・アップグレード

これらについては、オンプレミス版23aiがリリースされたタイミングでまとめる予定です! 現時点ではマニュアルの紹介にとどめます。

Oracle Database 23ai Freeもリリース

Oracle Database 23aiのリリースに合わせてFree版もリリースされています。

主な特徴は以下です。

  • 商用を含めて完全に無償で使用可能
  • いくつかの制限あり
    • 使用可能なリソースに制限あり(CPUコア数2、メモリサイズ2GBなど)
    • いわゆる一般的な「製品サポート」は受けられない
    • パッチなども提供されない

これは、Oracle Database 23c Freeの後継という位置づけと考えてよいでしょう。

プロフィール

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渡部 亮太

・Oracle ACE
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g, 12c 他多数

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