OCI Oracle BaseDBとは何か / Oracle Base Database Service
Oracle ACE Proの渡部です。
OCI(Oracle Cloud Infrastrucure)でOracle Databaseを使用できるサービス, Oracle Base Database Serviceについて説明します。
Oracle Base Database Serviceの概要
Oracle Base Database Service(略称 "BaseDB")は, OCIでOracle Databaseを使用できるサービスです。
以下の特徴があります。
- オンプレミスOracleと同等の感覚で使用可能 (オンプレミスOracleとの高い互換性, 既存資産が再利用可能)
- 比較的高いスケーラビリティを持つ : 最大 128 OCPU(128コア相当), 最大 80TB, 最大 数十万IOPS
- 運用の自動化(バックアップ, パッチ適用)
- 構成の自動化(初期作成, Data GuardスタンバイDBの構成, Autonomous Recovery Serviceの設定)
- 高いセキュリティ(パッチ適用, OCIの各種セキュリティ機能)
- 既存のOracleライセンスを持ち込み, 安価に使用可能(BYOL)
- 2ノード限定だが、RACを構成可能
- OCIの利点を享受できる
- Object Storage, FSSなどの周辺サービスを使用可能
- 他クラウドに比べて安価
- マルチリージョンにより, 災害に強いシステムを構成可能
なお、OCIでOracle Databaseを使用できるサービスはいくつかあります。
- Oracle Base Database Service (BaseDB)
- Exadata Database Service
- Exadata Database Service on Exascale Infrastructure
- Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure
- Autonomous Database
Oracle Base Database Serviceは、以下のお客様に適するサービスです。
- いわゆる "Exadataレベル" までの高い性能は不要
- オンプレOracleと同等の感覚で使用できること、オンプレOracleとの互換性、既存資産の再利用を重視する
- Autonomous Databaseはより充実した管理性を持ちますが、オンプレOracleとは異なる部分が多くあります。
なお、Oracle BaseDBは、かつて"Oracle Database Cloud Service (DBCS)"と呼ばれていました。
Oracle BaseDBの技術的なポイント
Oracle BaseDB (Oracle Base Database Service) の技術的な詳細は、日本オラクル様による以下資料にまとめられていますが、
いくつかポイントを抜粋して説明します。
OCIのIaaS基盤をベースに構築
Oracle BaseDBは、OCIのIaaS基盤をベースに構築されています。
このことはOracle社から明言されているわけではないのですが、おそらく事実でしょう。
具体的には以下の技術を用いて構築されているはずです。
- OCI Computeサービス
- OCI Block Volumeサービス
- VCN (Virtual Cloud Network)
したがって、OCIのIaaS基盤に関する知識があると、Oracle BaseDBを理解しやすいです。
以下の資料に目を通しておくことをお勧めします。
特に以下の概念を理解しておくとよいでしょう。
- OCIインフラストラクチャに関する概念 : アベイラビリティ・ドメイン(AD) , フォルト・ドメイン(FD)
- Computeシェイプの考え方: フレキシブルシェイプ, 標準シェイプ
- Computeへの接続方法: opcユーザーによるssh接続, インターネット接続, コンソール接続 , Bastion
- VCNのうち、インスタンス接続にかかわる概念: サブネット, セキュリティリスト, インターネット接続, Bastionなど
- メンテナンスの考え方(責任共有モデル) : インフラストラクチャメンテナンス、OS以上のパッチ適用
OSシェルが解放されており、root権限も使用可能
おそらく、既存のオンプレミスOracleを、なるべく手間をかけずにOCIに移行可能にするためだと思うのですが、
クラウドデータベースサービスでは珍しく、Oracle BaseDBではOSシェルが解放されています。よって、Oracle BaseDBのVMインスタンスにssh接続して、コマンドを実行することができます。アラートログやsyslogなどのログファイルもシェルから確認できます。
root権限も使用できるため、オンプレミスOracle環境のように、Oracleの活用を助ける様々なソフトウェアを導入できます。これも、既存のオンプレミスOracleを、なるべく手間をかけずにOCIに移行可能にするためだと思われます。
ただし、いくつかの注意点があります。これについては後述します。
OracleのSYSDBA権限が解放されている
上記と同様の理由だと思うのですが、OracleのSYSDBA権限も解放されています。ALTER SYSTEMやALTER DATABASEなどのお馴染みの管理用SQLを実行で来ますし、DBMS_XXXなどの組み込みパッケージの使用にも制限はありません。
オンプレミスOracle環境と同様に使用できます。いつも使っていたやり方が使えない!というようなストレスは全く感じません。
OCIの周辺サービスを使用できる
システムはデータベースだけで成り立つものではありませんので、周辺サービスも必要です。
Oracle BaseDBは、OCIが提供する周辺サービスと連携可能であり、以下のサービスを使用できます。
- OCI Object Storage
- OCI File Storage Service (FSS)
- など
特に、OCI File Storage Service (FSS)は有用です。OCI File Storage Service (FSS)は、端的に言うと、NFS v3互換のNASサービスを提供するマネージドサービスです。
Oracle BaseDBの留意点
稼働OSがOracle Linuxのみ
Oracle BaseDBは、OCIのIaaS基盤をベースに構築されていますが、VMのOSはOracle Linuxのみをサポートしています。
オンプレミス環境のWindows OracleをOCI BaseDBに移行する場合は、Oracle周辺の管理スクリプト、ツール類をLinuxに移植する必要があるかもしれません。
なお、OCIでどうしてもWindows Oracleを使用したい場合は、OCI ComputeにOracleをインストールすることもできます。
一部実行できない操作がある
上記の通り、Oracle BaseDBのではOSのroot権限やOracleのSYSDBA権限が解放されているのですが、どんな操作でも実行してよいわけではありません。
以下の資料に非推奨操作がまとめられています。
多くのパッチ適用操作がユーザー管理
Oracle BaseDBは複数のソフトウェアスタックで構成されているのですが、多くのソフトウェアスタックでパッチ適用操作の責任主体がユーザーになっています。
パッチ適用作業そのものは自動化されているのですが、パッチをいつ適用するか?を決定するのはユーザーの責任であるということです。
Oracleバージョンに関する制約が厳しめ
Oracleバージョンに関する制約が厳しめです。
基本的に新し目のバージョンしか新規作成時に指定できません。
また、オンプレミスOracleのSustaining Supportに相当するとても古いバージョンは、「全く使えない」までも「稼働が保証されない」扱いになります。
2025年9月時点でVPUが最大20
Oracle BaseDBのストレージは、OCI Block Volumeを元に構成されています。
ただ、OCI Block Volumeのすべての機能を使用できるわけではないようです。
特に、指定できるVPU(Volume Performance Unit) が10 or 20 に限定される点に注意してください。
すなわち、UHPに相当するVPU=30~120は指定できません(残念!将来的な拡張に期待!)。
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