技術ブログ
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守田です。
この記事は、JPOUG Advent Calendar 2020 の16日目の記事です。
15日目は みやくる さんの記事
『Oracle Blockchain Tableでデジタル証明書・署名を使ってみた話【Oracle Database 21c】』
でした。
他愛のないお話をしてしまいますが、最近普通二輪の免許を取得しました。
学生の頃ずっと原付(スクーター)を使用していたこともあり、かねてからバイクに乗ることを夢見ていたのです。
しかし、今までなかなか免許を取る機会がありませんでした。
今年一念発起し(こっそり家族に内緒で)自動車学校に通った次第です。
MT(マニュアル)で免許取得を目指しましたが、私は大変不器用のため、二輪の教習は非常に苦労しました。
MTの教習の中で、最も楽しい教習は「AT(オートマ)教習」でした。
ATは
というものですから、運転があまりに楽で、楽しくて楽しくて。
普通自動車免許も取得していますが、運転する車はもっぱらATです。
ATはとても楽なので、大好きです。
前置きが長くなりましたが、何が言いたいかというと、「AT(オートマ)」つまり自動運転ってとっても楽ってことです。
「データベースのATってあるのかな?」って考えたら、あるじゃないですかっ!
『Autonomous Database』です。
Autonomous Databaseが発表された資料でも、AT車に例えられてましたね。
ということで、『Autonomous DatabaseってどこまでATなの?』という点を見ていきたいと思います。
自動車を運転するのと同様、今回はデータベースを運転する、つまり「運用保守」に焦点を当てて考えていきます。
データベースの運用保守では、どのようなことをしているのか、いくつか例をあげてみます。
(オンプレミスで稼働するデータベースを対象とします)
ざっくりこんな形でしょうか。
日々の運用では、これらを手作業でやっている方もおられるのではないかと思います。
データベースのバックアップや不要なログの削除はスクリプトで自動化しているケースもあるでしょう。
表領域の拡張も「自動拡張」を有効にしている方法もあります。
なかには「いーや、自分で全部やるんだっ!」と徹底して手作業で管理している方もいるかもしれません。
でも、手作業って大変ですよね。
オペミスの可能性もあります。
車の運転でたとえると、エンストでしょうか。
何十年と運転に慣れている方も、100%まったくエンストしない、という方はそういないのではないかと思います。
こういった日々の運用作業をAutonomous Databaseだったらどうなるのでしょうか。
Autonomous Databaseは、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)で実行される以下の2つのサービスの総称です。
それぞれDataWarehouse用途およびトランザクション処理用と向けに構成されています。
今回は『Autonomous Data Warehouse(ADW)』を対象に考えます。
ADWを利用すると、オンプレミスで構築されたデータベースを利用した場合とでは、運用保守がどう変わるのでしょうか。
まず、ADWではいくつかの制限があります。
CREATE TABLESPACEなどのデータベースの管理に使用されるSQLコマンドは使用できません。
いきなりのポイントですが「表領域の管理」に関するコマンドを実行することができません。
もうここは「実行できない」というより「しなくてよい」と考えましょう(脳内変換)。
ATの二輪にはクラッチレバーがないのと同じです。
ADWでは、表領域の追加、削除や変更は許可されておらず、ストレージのサイズに応じて自動的に作成されます。
RMANなどの他の管理インタフェースやユーティリティも、使用できません。
通常バックアップやリストア・リカバリはRMANを使用しますが、そのRMANが使用できません。
ADWは自動的にバックアップされるため、手動バックアップは不要です。
リストア・リカバリはOCIコンソールの画面から実施します。
つまり、RMANを使わなくとも、バックアップやリカバリが簡単にできるのです。
実際、障害が発生してバックアップから復旧を試みる場合、RMANのコマンドを確認して、オプション確かめて・・・
とかなったら、大変ですよね。
坂道発進で落ちないように苦心する運転手と同じです。
Autonomous Databaseであれば、コマンドを確認するといった面倒な準備なしに、画面を見ながら復旧させることができます。
パッチ適用を手作業で行う場合、かなりの時間と労力が必要です。
パッチをダウンロードし、Readmeを熟読、前提パッチを探し出し、手順を確立し・・・。
それだけで何日も時間がかかってしまいます。
また、Oracle Database ソフトウェアパッチは四半期ごとにリリースされるため、何度も実施するとなると大変です。
さらに、パッチ適用対象のデータベースの数が多ければ多いほど、その分コストがかかります。
できる限りパッチ適用は簡単に行いたいと考える人もいるでしょう。
ADWであれば、OCIコンソールからメンテナンス・スケジュールを構成することで、人の手を介することなく、自動的にパッチが適用されます。
他にも、Autonomous DatabaseはOracle Cloud Infrastructure上で稼働していることから、ハードウェア障害に悩まされることはありません。
機械も無限に動き続けるわけではないので、故障することも当然あります。
オンプレミスではハードウェアの障害対応も実施しないといけませんが、Cloudではベンダー責任範疇となるので、
利用者はハードウェア障害を気にする必要がありません。
CPUやメモリのリソースも、OCI Monitoringや、Oracle Database Management for Autonomous Databaseを利用することで監視できます。
これらのサービスもCloud上で利用できるため、手作業で構築する必要もありません。
こうしてみると、データベースの運用保守で行うほとんどの作業が自動化、ないし簡単な操作で実施できます。
クラッチ操作がいらないAT車と同じようなイメージを感じます。
もちろん、MTはMTの良さもあります。
自動車もそうですが「細かいところまで自分で制御できる」点にメリットを感じる人もいるでしょう。
私個人としては、今後データベースもATが主流になるのでは、と感じています。
実際、自動車はATが主流です。
二輪車はMTが主流ですが、AT限定で乗れる車種も増えてきています。
データベースもどんどんATが広まっていかないかな、と密かに期待しています。
引用:共有Exadata InfrastructureでのOracle Autonomous Data Warehouseの使用