Oracle Database 20c サポート対象外/非推奨機能のメモ 
					
渡部です。先ほどのエントリ では、Oracle Database 20cから非CDB構成(非マルチテナント構成)がサポート対象外となった点をお伝えしましが、これ以外にもいくつか目についたOracle Database 20cサポート対象外/非推奨機能があったので、簡単にメモしておきます。
なお、Oracle Database 20cの新機能については、以下のブログで紹介されています。
Automated Machine Learning ? will automation replace Data Scientists? 
Data Safe and Oracle Database 20c 
Native Blockchain Tables Extend Multi-model Converged Architecture 
New JSON binary datatype in Oracle Database 20c 
Oracle Database 20c Automatic In-Memory Enhancements 
Using graphs to understand relationships with Oracle Database 20c 
 
 
非CDB構成(非マルチテナント構成)以外のOracle Database 20cサポート対象外機能のうち、目についたものです。
Desupport of ACFS on Microsoft Windows 
WindowsプラットフォームでACFSがサポート対象外となります。Windows以外のLinux/UNIXプラットフォームではACFSのサポートが継続されるようです。   
ACFSは、ASM上に構成されるPOSIX互換のクラスタファイルシステムです。基本機能であれば、無償で使用できるため、クラスタ内で共有したいファイルの配置に便利でした。 
 
Desupport of Vendor Clusterware Integration with Oracle Clusterware 
HP ServiceGuardやIBM PowerHAなどの、いわゆる3rd-Partyクラスタウェア製品とOracle Clusterwareを共存させる構成がサポート対象外となります。 
Oracle Database 9iのころは、Oracle Clusterwareが提供されていなかったため、3rd-Partyクラスタウェア製品を用いてRACを構成する必要がありました。この流れを踏まえて、HP-UXやIBM AIXなどのプラットフォームでは、Oracle Database 10gでOracle Clusterwareが提供された後も、3rd-Partyクラスタウェア製品とOracle Clusterwareを共存させる構成が使われていました。 
Oracle Clusterwareの登場から時間が経過したこと、HP-UXやIBM AIXなどのUNIXプラットフォームの位置づけが小さくなったことなどから、3rd-Partyクラスタウェア製品とOracle Clusterwareを共存させる構成がサポート対象外としたと理解しています。 
 
Desupport of Cluster Domain Member Clusters 
クラスタドメインメンバークラスタ(メンバークラスタ)は、Oracle Database 12c R2で導入されたドメインサービスクラスタの枠組みにおいて、ドメインサービスクラスタからサービスを受ける側のクラスタです。 
メンバークラスタの前提となるドメインサービスクラスタの枠組みも、Oracle Database 20cから非推奨扱いとなっています。 
ドメインサービスクラスタの枠組みは、複数のノードから構成されるクラスタをさらに統合して、複数のクラスタを統合しつつ、ドメインサービスクラスタがその配下のメンバークラスタに記憶域サービスや管理機能を提供するかなり「野心的」な枠組みでしたが、どうやら方向性の修正が行われるようです。というのも、Remote GIMR Support for Oracle Standalone Clustersなど、ドメインサービスクラスタが目指した方向性に類似した機能は追加されているためです。 
とはいえ、データベースの統合すらなかなか難しい日本では、クラスタの統合はとても難しいだろうなぁとは思います。 
 
 
Oracle Database 20cで非推奨となる機能のうち、目についたものです。
Deprecation of Traditional Auditing 
統合監査以外の監査機能が非推奨扱いとなります。 
Oracle Databaseには機能が異なるいくつかの監査機能がありました。これらを統合するものとして、Oracle Database 12cから統合監査が導入されました。 
統合監査の導入から十分に経過したことから、従来型の監査機能から統合監査への移行を促すために、統合監査以外の監査機能が非推奨扱いとなったと理解しています。 
 
Deprecation of Policy-Managed Databases 
ノード追加・削減にともなうRACデータベースのメンテナンス作業をほぼ自動化する、ポリシー管理データベースが非推奨扱いになりました。ポリシー管理データベースは、Oracle Database 11g R2で導入されました。 
日本でポリシー管理データベースはあまり使用されていない印象を個人的に持っていますので、実務的な影響はさほど無いはずです。 
しかし、データベースインフラ統合のために導入された技術であるため、今後オラクル社はどの様な機能を活用してデータベースインフラ統合を進めていくかが気になります。 
 
 
Oracle Database 20cで動作が変更される機能のうち、目についたものです。
About Read-Only Oracle Homes 
Read-Only Oracle Home(読取り専用ORACLE_HOME)は、Oracle Database 18cで導入された機能で、ORACLE_HOMEから更新されるファイル、新規追加されるファイルを排除することで、ORACLE_HOMEを含むディスクイメージを仮想環境で取扱いやすくするための機能です。 
Oracle Database 20cからは、Read-Only Oracle Homeがデフォルトになる模様です。 
これにより、従来ORACLE_HOME以下の配置されていた初期化パラメータファイル(spfile)、パスワードファイルの配置場所が変わります。単純な変更ではありますが、運用に影響する部分であるため、注意が必要です。 
余談気味ですが、書籍を書く立場からすると、重要なファイルの配置場所がバージョンにより異なると説明が面倒になる・・・・しょうがないですね。 
 
 
Oracle Database 20c新機能よりもサポート対象外/非推奨機能の方が目につきやすいのには、以下の背景があるようにも思えます。
Oracle Databaseが年次リリースとなり、新機能が毎年小出しにリリースされるようになったこと 
Oracle Databaseの多機能化に伴い、さすがにそろそろ機能の取捨選択をせざるを得なくなってきたこと 
さらに、ユーザーの要望やトレンドの変遷が、製品ベンダの考えどおりにならなくなってきており、ユーザーやトレンドに受け入れられる新機能もあれば、ユーザーやトレンドに受け入れられない新機能もある状況がでてきたこと 
 
サポート対象外と非推奨は意味が異なります。具体的には、
サポート対象外(サポート終了): この機能は使用できません。 
非推奨: 将来的にサポート終了になる可能性があるため、この機能の採用には十分に注意が必要です。 
 
すなわち、Oracle Database 20cでは、
WindowsプラットフォームではACFSを使用できません(=サポート対象外) 
統合監査以外の監査機能を使用できます。ただし、Oracle Database 21cなどの将来のリリースでサポート対象外になる(使用できなくなる)可能性があります(=非推奨) 
 
となります。
オラクル含め、「非CDB構成はサポート対象外」という情報が流れていましたが、よくよくマニュアルを読むと別の解釈もできそうな気がしてきました。詳細は以下をご覧ください。
Oracle Database 19cとは何か? どういう位置づけのリリースなのか? 
		
  
    前の記事へ  
  
    次の記事へ