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渡部です。コーソルはORACLE MASTER Platinumの累計取得者数4年連続No.1、年間取得者数6年連続No.1、です。
ORACLE MASTER Platinumの取得はかなり大変なのですが、Oracle Databaseに 携わっていない方にはそれがあまり知られていないように思えます。 このため、この記事ではORACLE MASTER Platinumとは何か、そして、 ORACLE MASTER Platinumを取得するには何が必要かをまとめてみます。
ORACLE MASTER Platinumとは、Oracle Databaseの資格体系の最高峰に位置する最高難度の資格です。
いくつかの特徴があります。
本記事は12c以前のORACLE MASTER Platinumについて記載しています。2023年2月に発表されたORACLE MASTER Platinum DBA 2019 ではいくつかの点が変更されていますので、https://cosol.jp/techdb/2023/02/oracle_master_platinum_dba_2019/ を参照してください。
試験の当日、会場に行くと、試験会場にはPCが用意されています。 このPC上でコマンドを入力したり、GUIを操作したりして、与えられた要件を満たすように Oracle Databaseを操作・制御・管理します。
試験は9:30am~7:30pmの2日間です。 長時間にわたるため、単なるOracle Databaseスキルだけではなく、精神力や体力も必要です。
ただし、全ての問題を正答する必要はありません。しかし、採点が不可能になるような致命的なミスを犯してはいけませんので、常に緊張感をもって操作を行う必要があります。
ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c 実技試験の受験にあたって(注意事項)より
試験環境について
(略)
受験者には、試験当日、無作為に専用サーバーが割り当てられ、各試験日ともそのサーバーをワークステーションとしてお使いいただきます。試験環境はセキュリティ維持のため、インターネットやイントラネットには接続されていません。
なお、試験会場でマニュアルを参照することができます。このため、全てを暗記する必要はありませんが、マニュアルを読むことに時間を費やしすぎると回答に避ける時間が少なくなり、試験時間内に十分な回答ができなくなる恐れがあるため注意が必要です。
ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c 実技試験の受験にあたって(注意事項)より
試験に関する注意事項
- 日本で開催されるOCM 試験の問題文および製品マニュアルは、日本語と英語にて提供されます。 (日本以外の国では英語のみで提供されます。)
ORACLE MASTER Platinumの試験範囲は、オラクル公式試験ページの「試験内容 チェックリスト」で公開されています。
いわゆるシングル構成のOracle Databaseで使用する機能のみならず、Data GuardやRAC環境も試験範囲に含まれています。 また、Enterprise Edition限定の機能やOption/Packの機能が多く取り上げられている点に注意が必要です。
実業務でData GuardやRAC環境をあまり使用していない場合や、Enterprise Edition限定の機能やOption/Packの機能をあまり使用していない場合は、実業務経験が多い場合でも、十分な試験対策が必要になると思われます。
- 一般的なデータベースとネットワークの管理
- プラガブル・データベースの作成および管理
- ユーザー、ロール、権限の管理
- ネットワーク環境を構成し、複数のデータベースに接続
- データベース構成ファイルの管理
- 共有サーバーの構成
- ネットワーク・ファイル・ディレクトリの管理
- データベースの可用性の管理
- EM Cloud Control エージェントのインストール
- リカバリ・カタログの構成
- RMAN の構成
- データベースの全体バックアップ
- Flashback Database の構成および監視
- データ・ウェアハウスの管理
- データベース・リンクの管理
- 高速リフレッシュ可能なマテリアライズド・ビューの管理
- トランスポータブル表領域の機能を使ってプラグイン表領域の作成
- スター・クエリーの最適化
- パラレル実行の構成
- パッチの適用
- 自動データ最適化、行アーカイブ、時間的な有効性の構成
- 外部表の管理
- データの管理
- 追加のバッファ・キャッシュの管理
- LOB データの領域使用の最適化
- 暗号化された表領域の管理
- スキーマ・データの管理
- パーティション表の管理
- ファイングレイン監査の設定
- 表の行の旧バージョンを検索できるようなデータベースの構成
- パフォーマンスの管理
- Resource Manager の構成
- SQL 文のチューニング
- Real Application Testing の使用
- SQL 計画ベースラインの管理
- パフォーマンス統計の収集
- インスタンスのチューニング
- 結果キャッシュの構成と管理
- 拡張統計の管理
- パーティション索引の作成と管理
- Oracle インスタンスの CPU 使用の制御
- In Memory 機能の構成と管理
- Data Guard
- Data Guard 環境の管理
- フィジカル・スタンバイ・データベースの作成
- スタンバイ・データベースをテスト用途にするための構成
- スタンバイ REDO 適用の構成
- スタンバイ・データベースをレポート用途にするための構成
- ファスト・スタート・フェイルオーバーの構成
- Data Guard 環境における DDL の管理
- Grid Infrastructure
- Oracle Grid Infrastructure のインストール
- ASM ディスク・グループの作成
- ASM インスタンスの作成および管理
- ASM Cloud Files System (ACFS) の構成
- Clusterware の管理
- Flex Cluster と Flex ASM の管理
- Real Application Cluster Database
- Oracle Database ソフトウェアのインストール
- Real Application Clusters (RAC) データベースの作成
- データベース・サービスの構成
- 1ノード もしくは 複数ノード上のOracle RAC Database の管理
以下の理由から、ORACLE MASTER Platinum受験には多額の費用が必要です。
BronzeからPlatinumに至るまでに受験すべき試験と受講すべき研修、発生する費用の一覧を以下にまとめました。なんと、必要な金額は総額 約140万円です!
なお、以下の点に注意してください。
本記事は12c以前のORACLE MASTER Platinumについて記載しています。2023年2月に発表されたORACLE MASTER Platinum DBA 2019 ではいくつかの点が変更されていますので、https://cosol.jp/techdb/2023/02/oracle_master_platinum_dba_2019/ を参照してください。
試験合格が非常に困難なこと、および、多額の費用が必要なことなどから、ORACLE MASTER Platinumの取得者数は少ないです。
ORACLE MASTER Platinumの取得者数自体は公開されていませんが、 国内ORACLE MASTER保持者25万人の0.1%との公開データがあります。 このデータをもとに概算すると、国内でPlatinum保持者は250人程度と算出できます。
ORACLE MASTER Platinumはグローバルで有効な資格です。 このため、希少性が高いスキルを持っていることを世界中どこででも証明できます。
ただ、注意すべき点があります。 ORACLE MASTER Platinumは、海外では"Oracle Certified Master(OCM)"と呼ばれており、 "ORACLE MASTER Platinum"という名称は通用しません。 海外向けには、代わりに"Oracle Certified Master"と書きましょう。 実は "ORACLE MASTER" は日本国内ローカルの名称なのです。
日本では時として資格や学位が軽視されがちですが、 アメリカなどの日本以外の国では、資格や学位はとても重要視されることがあります。 実は、弊社のカナダ拠点であるコーソルカナダへ出向する際のビザ取得において、 "ORACLE MASTER Platinum"ならぬ "Oracle Certified Master"保持者の方が比較的スムーズに進められた傾向があるようです。
他国の労働者を受け入れるということは、 自国民の雇用機会が奪われる可能性があるということです。 このため、ビザを発行してもらうためには、専門技能を持っていることを客観的に証明できるかどうかが大きなポイントになります。 残念ながら、ビザ取得がrejectされたときの理由は公開されませんので、 実際の事実関係は確認できませんが、 "ORACLE MASTER Platinum"ならぬ"Oracle Certified Master"保持者の方が 専門技能を持っていることを客観的に証明しやすいのは、論理的に明らかと考えています。
渡部個人の意見ですが、何らかの方法で費用面の課題をクリアできれば、 ORACLE MASTER Platinumにチャレンジする価値はあると考えています。 理由は以下の通りです。
コーソルは費用面を中心に、社員のORACLE MASTER Platinum取得を支援しています。 具体的には、会社で一部の費用を負担し、かつ、合格時に36万円の資格手当を支払うことで、 個人の費用負担は実質的に発生せず、むしろ「黒字」になるスキームを用意しています。
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ただし、ちゃんと合格まで頑張り抜くことが前提になります。
支援の結果、2020年2月時点で50名の社員がORACLE MASTER Platinumを保有しています。
Oracle Databaseエンジニアのスペシャリストとして、技術力を客観的に証明できる指標を得たいかたは、 是非コーソルで働くことを考えてみてください!