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Oracle 21cリリース!& 新機能/サポート終了/非推奨機能メモ

渡部です。まだ2020年なのですが…、Oracle Database 21cがクラウド限定でリリースされました! 併せて英語版マニュアルがリリースされたので、新機能、サポート終了機能(廃止機能)、非推奨機能について、 目についたところをメモしておきます。

Oracle Database 21c英語マニュアル

Oracle Database 21c英語マニュアルは、以下のURLから参照できます。

マニュアル構成で気になった点としては、旧リリースのOracle Database New Features Guideが、 Learning Database New Featuresに変わったところでしょうか。

目についたOracle Database 21c新機能

新機能については、Oracle Database Learning Database New Features 21cにまとめられています。

オラクルさん的にイチオシの新しい機能は、以下のブログなどで紹介されています。

見出しおよび項目のみ抜粋しておきます。

  • Blockchain Tables
  • Native JSON Datatype
  • Executing JavaScript inside Oracle Database
  • SQL Macros
  • In-Memory Enhancements
  • Expression based init.ora parameters
  • Automatic Zone Maps
  • In-Database Machine Learning
  • AutoML
  • Optimized Graph Models
  • Sharding Enhancements
  • Persistent Memory (PMEM) Support

これらの機能は多くは「キラキラ」しているのですが・・・ いわゆる従来からOracle Databaseを 使うようなシステムだとあまり使う機会がないかもしれません。(SQL Macrosは便利かも)

「この目線」でOracle Database Learning Database New Features 21cをチェックし、目についた新機能を以下にメモしておきます。

Oracle Data Pump Includes and Excludes in the Same Operation

Data Pumpのパラメータとして、INCLUDEとEXLUDEの併用が可能になりました。

には以下の使用イメージが記載されています。

$ expdp  ... INCLUDE = TABLE:"IN ('SH.TABLE1','SH.TABLE2')"
             INCLUDE = SCHEMA:"IN ('HR','OE')"
             EXCLUDE = TABLE:"IN ('HR.EMPLOYEES','OE.TABLE3')"

「というか、なんで今までできなかったんだ」という感想も若干あるな・・・

attention.log

重要な事象の発生を示すJSON形式のログが出力されるようになります。

には、以下の出力イメージが記載されています。

{
IMMEDIATE : "PMON (ospid: 3565): terminating the instance due to ORA error 822" 
CAUSE: "PMON detected fatal background process death"
ACTION: "Termination of fatal background is not recommended, Investigate cause of process termination"
CLASS : CDB-INSTANCE / CDB_ADMIN / ERROR / DBAL-35782660
TIME : 2020-03-28T14:15:16.159-07:00
INFO : "Some additional data on error PMON error"
}

従来のアラートログを踏襲したままのXML化はちょっと無理があったかなぁ・・・

Read-Only Oracle Home Default

20cの時点からアナウンスされていましたが、読み取り専用ORACLE_HOMEがデフォルトになるようです。

Read-Only Oracle Home(読取り専用ORACLE-HOME)は、Oracle Database 18cで導入された機能で、ORACLE-HOMEから更新されるファイル、新規追加されるファイルを排除することで、ORACLE-HOMEを含むディスクイメージを仮想環境で取扱い安くするための機能です。

従来ORACLE-HOME以下に配置されていた初期化パラメータファイル(spfile)、パスワードファイルの配置場所が変わります。単純な変更ではありますが、運用に影響する部分であるため、注意が必要です。

余談気味ですが、書籍を書く立場からすると、重要なファイルの配置場所がバージョンにより異なると説明が面倒になる・・・・しょうがないですね。

Automatic Operations

多くの処理で自動化がなされるようです。 https://docs.oracle.com/en/database/oracle/oracle-database/21/nfcon/automatic-operations-256569003.html には以下の記載があります。

  • Automatic Index Optimization
  • Automatic Indexing Enhancements
  • Automatic Materialized Views
  • Automatic SQL Tuning Set
  • Automatic Zone Maps
  • Object Activity Tracking System
  • SecureFiles Defragmentation
  • Sequence Dynamic Cache Resizing

上記で気になるのは、Automatic Materialized Viewsかな・・・ マニュアルにまだ詳細の記載はないようなので、記載され次第あらためてチェックしたいと思っています。

Remote GIMR Support for Oracle Standalone Clusters

GIMRがクラスタ外に配置可能になりました。

GIMRについては、若干紆余曲折ありますね。参考のため、GIMRの経緯を簡単にまとめます。

          使用強制    構成
          ----------- --------------------
11.2.0.2  <導入開始、当時はCHMリポジトリという名称>
12.1.0.1  オプション  OCR/Voteと同じDGに
12.1.0.2  必須        
12.2      必須        GIMR専用DGがOKに
19c       オプション  
21c       オプション  クラスタ外配置が可能に

Pluggable Database Cluster Resources

PDBがクラスタリソースとして管理可能になりました。

https://docs.oracle.com/en/database/oracle/oracle-database/21/racad/administering-database-instances-and-cluster-databases.html#GUID-57166C75-59D4-4037-81CD-8CAD753DA64D

srvctl modify pdb -db db_unique_name -pdb pdb_name 
     [-cardinality {num_of_instances | ALL}]
     [-maxcpu max_cpu_usage] [-mincpuunit min_cpu_usage] 
     [-rank rank] [-startoption start_options] 
     [-stopoption stop_options] [-policy policy]

まだ調べ切れていませんが、カーディナリティやランクなど構成要素がいくつかあるようです。

[補足] 新機能確認用スクリプトがダウンロード可能

新機能確認用スクリプトがダウンロード可能になっています。 これを用いると、新機能を簡単に確認できるはずです。

目についたOracle Database 21cサポート対象外機能

Oracle Database 21cサポート対象外機能のうち、目についたものです。

Desupport of Non-CDB Oracle Databases

以前からアナウンスされていましたが本当に非CDB構成(従来のシングル構成)がサポート対象外になってしまいました・・・ これについてはまたあらためて記事を書く予定です。

Desupport of ACFS on Microsoft Windows

WindowsプラットフォームでACFSがサポート対象外となります。Windows以外のLinux/UNIXプラットフォームではACFSのサポートが継続されるようです。
ACFSは、ASM上に構成されるPOSIX互換のクラスタファイルシステムです。基本機能であれば、無償で使用できるため、クラスタ内で共有したいファイルの配置に便利でした。

目についたOracle Database 21c非推奨機能

Oracle Database 21cで非推奨となる機能のうち、目についたものです。

Deprecation of Traditional Auditing

統合監査以外の監査機能が非推奨扱いとなります。 Oracle Databaseには機能が異なるいくつかの監査機能がありました。これらを統合するものとして、Oracle Database 12cから統合監査が導入されました。

統合監査の導入から十分に経過したことから、従来型の監査機能から統合監査への移行を促すために、統合監査以外の監査機能が非推奨扱いとなったと理解しています。

Deprecation of Oracle Enterprise Manager Database Express

なんと、Oracle Enterprise Manager Database Expressが非推奨扱いになってしまいました・・・

補足: サポート対象外("Desupport" / "Desupported")と非推奨("Deprecated" / "Deprecation")

サポート対象外と非推奨は意味が異なります。具体的には、

  • サポート対象外(サポート終了): この機能は使用できません。
  • 非推奨: 将来的にサポート終了になる可能性があるため、この機能の採用には十分に注意が必要です。

すなわち、Oracle Database 21cでは、

  • WindowsプラットフォームではACFSを使用できません(=サポート対象外)
  • 統合監査以外の監査機能を使用できます。ただし、Oracle Database 22cなどの将来のリリースでサポート対象外になる(使用できなくなる)可能性があります(=非推奨)

となります。

プロフィール

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渡部 亮太

・Oracle ACE
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g, 12c 他多数

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