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12/22開催SIOS社共催Oracle SEHAセミナーのお知らせ+前回セミナー質問への回答

渡部です。12月22日 サイオステクノロジー株式会社様 主催のウェブセミナーにて、Oracle SEHAについてもう一度お話させていただきます。 11月27日に開催したウェビナーがなんと満席!のため、同じ内容で再度実施する形となります。

併せて、11月27日のウェビナーで頂戴した質問について、このブログの後半で回答させていただきます。

12/22 Oracle SEHAセミナー概要

セミナーの構成

  • 1.Oracle 19cで廃止されたSE-RACの代替ソリューションOracle SEHAとは -   株式会社コーソル 渡部 亮太
  • 2.Oracle SEHAの制約をカバーするソリューションの紹介 -   サイオステクノロジー株式会社
  • 3.質疑応答

渡部担当セッション 「Oracle 19cで廃止されたSE-RACの代替ソリューションOracle SEHAとは」

ご存じの通り、Oracle 19cでStandard Edition RAC、いわゆるSE-RACが廃止されました。 これにともない、オラクル社からは、SE-RACの代わりとなりうる高可用性ソリュ―ションとして、 Oracle SEHAが提供されました。

本セッションでは、Oracle SEHAの概要、特徴、制約をお話いたします。

参考URL

SIOS社主催ウェブセミナーでOracle SEHAについてお話します

19c新機能 SEHA / GIベース シングルHA構成 – SE2-RAC廃止対応

Oracle Database 19cとは何か? どういう位置づけのリリースなのか?

11月27日のウェビナーで頂戴した質問への回答

11月27日にと同一の内容でウェビナーを実施しました。その際、一部の質問については口頭で回答させていただきましたが、回答できない質問もありました。また、通信の関係で回答がよく聞き取れなかったというご意見もいただきましたので、Oracle SEHAに関して頂戴した質問についてブログにて回答を記載しておきます。

免責

  • 回答の内容については正確を期していますが、回答に従って万が一発生した損害については保証いたしかねます。
  • 特にライセンスに関しては注意してください。ライセンスの文言は解釈が難しい場合があり、かつ、判断の誤りが金銭的な問題につながりやすいため、ライセンスに関して正確な判断が必要な場合はオラクル社にお問い合わせください。

Oracle SEHAはWindowsに対応していますか?

はい、Oracle SEHAはLinux、Windows、Solarisに対応しています。

19cでOracle Fail Safeが非推奨となりましたが、Oracle SEHAで代用できますか?

Oracle SEHAはWindowsに対応しているActive-Standby型のHA構成で、Oracle Fail Safeの代替ソリューションとして使用できます。 代替として使用するにあたり、私が確認した限りでは特に大きな制限や問題はないように思えます。 むしろ、以下の点で好印象を持っています。

  • Oracle Fail SafeはWSFCに依存しており、WSFCはActive Directoryに依存していたが、Oracle SEHAにはそのような依存関係がない
  • (個人的な感覚だが) クラスタリングソフトウェアとして、WSFCよりもOracle Grid Infrastructureのほうが使いやすいように思える

違いはさほどないですが、しいて言えば、Oracle SEHAではSCAN VIPを使用することでしょうか。

Oracle SEHAとRAC One Nodeの違いは何でしょうか?

実務面で重要なポイントは、それぞれ使えるEditionが違うということです。 Oracle SEHAはOracle Database Standard Edition 2専用で、 RAC One Nodeは、Oracle Database Enterprise Edition専用の有償オプションです。 このため、実務上は、Oracle SEHAとRAC One Nodeを並べて比較することはあまりないはずです。

技術面での違いについていうと、RAC One Nodeでは、一時的に両ノードでインスタンスを起動できる点があります。計画停止などの目的であるノードをshutdownしたい場合がありますが、以下の手順を踏むことで、サービスを停止することなく、これを実現できます。

  1. 待機ノードでインスタンスを起動
  2. 現行の稼働ノードで新規接続の受付を停止
  3. 現行の稼働ノードの既存接続の終了を待つ
  4. 現行の稼働ノードの既存接続がすべて終了したら、現行の稼働ノードのインスタンスを停止

このような動作は、Oracle SEHAでは実現できません。

EE+GIでEEHAを実現できますか?

Oracle SEHAは、Oracle Database Standard Edition 2専用のソリューションです。 このため、Oracle SEHAをそのままOracle Database Enterprise Editionで使用することはできません。

なお、なにか工夫をすれば、Oracle Database Enterprise EditionでもHA構成は実現できそうな気がしますが、申し訳ありませんが、やったことがないのでできると断言はできません。 (意外と簡単にできるかも?)

Oracle SEHAの動作検証をしたいのですが、対応するバージョン(19.7以降)を入手するにはどうすればよいですか?

この質問を頂戴して気づいたことではあるのですが、確かにOTNでは19cのベースリリースである19.3のみが公開されており、19.7のRUは公開されていません。

19.7のRUはMy Oracle Supportからダウンロード可能ですが、My Oracle SupportへのアクセスおよびRUの利用には、適切な契約が必要です。

ライセンス購入済みであればもちろんOKです。また、オラクルのパートナー契約を結んでいれば、検証用途で利用可能なはずです。

LifeKeeper + DataKeeper構成にOracleライセンスの10日間ルールを適用できますか?

ウェビナーでは、「Oracleライセンスの10日間ルール」として、Oracle データ・リカバリ・ポリシーをご紹介しました。

私の理解では、LifeKeeper + DataKeeper構成にOracleライセンスの10日間ルールは適用できません。 なぜなら、Oracle データ・リカバリ・ポリシーには以下の記載があるためです。

フェイルオーバー・データ・リカバリ手法はクラスタ配置の一例で、複数のコンピュータ/サーバーが、一つのシングル・ストレージまたは SAN にアクセスするものです。

LifeKeeper + DataKeeper構成は、2つのストレージをミラーリングする構成であり、上記記載には該当しないと判断しています。

10日間ルールを適用した環境で、待機系の起動日数が10日間を超えた場合どうなりますか?

ライセンス違反になると思います。申し訳ないですが、その場合のペナルティ(追加料金?)については私はよくわかりません。

DataKeeperと組み合わるとOracle Cloud以外のパブリッククラウドでOracle SEHAを使用できるようになりますか?

Oracle SEHAに限りませんが、RACをはじめとするOracle Grid Infrastructureを使用するようなクラスタ関連のOracle Database技術のパブリッククラウドの利用に関して、オラクル社は情報をあまり明確に発信していないように思われます。

このため、私から明確に断言することはできないのですが、Oracle Cloud以外のパブリッククラウドにおけるOracle Grid Infrastructureの利用の可否が明確にオラクル社から情報が発信されない限り、 DataKeeperと組み合わせてもOracle Cloud以外のパブリッククラウドでOracle SEHAを使用することは動作保証の観点から採用しにくいと考えています。

純粋な技術の観点からは、AWSではマルチキャスト通信がサポートされない点がネックになりそうです。

プロフィール

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渡部 亮太

・Oracle ACE
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g, 12c 他多数

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