技術ブログ
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Oracle ACEの渡部です。2021年5月に開催されたSIOS Availability Forum 2021で渡部が講演したセッション「高可用性構成Oracle MAAとOracle SE代替実装」の骨子をまとめておきます。本セッションが、Oracle SE2における高可用性の実現 に役立てば幸いです。
なお、セッション動画はhttps://mk.sios.jp/BC_saf-entry-2021_bで公開されています。 2021年6月30日までの期間限定のようなので、ご注意くださいませ。
Oracle Databaseで高可用性とデータ保護を実現するための参照アーキテクチャとして、オラクル社よりOracle MAA (Oracle Maximum Availability Architecture)が示されています。Oracle MAAの考え方は極めて有用であり、Oracle Databaseのみならず、他RDBMS製品のユーザーにも役立つものです。
しかし、 Oracle MAAの実装はOracle Enterprise Editionおよび有償オプションを使用することが前提であり、Oracle Standard Edition 2にはそのまま実装できません。
このため、本セミナーではOracle MAAの概念を説明したうえで、Oracle MAAの概念をOracle Standard Edition 2で実装する方法を概説します。
なお、議論をシンプルにするため、このセッションでは以下の前提を置いています。
Oracle MAAとは、Oracle Maximum Availability Architectureの略で、Oracle Databaseで高可用性とデータ保護を実現するための参照アーキテクチャです。
特徴としては、データベース可用性とデータ保護の度合いを、4つのレベルに整理して提示していることがあります。 具体的には、可用性レベル 低い方から順に、ブロンズ → シルバー → ゴールド → プラチナ となっています。
具体的な実装においては、Oracle Database Enterprise Edition+有償オプションを使用することが前提になっています。
詳細は以下をご覧ください。
Oracle MAAに限定されない一般的な議論ですが、高い可用性を求めるほど、それを実現するコストが大きくなります。 よって、すべてのシステムに高い可用性を求めるのはコスト面で非現実的と言えます。
Oracle MAAが、データベース可用性とデータ保護の度合いを、4つのレベルに整理している理由の1つにこれがあると、私は考えています。 ひらたく言うと、
ということです。
もう少し、Oracle MAA 可用性レベルについて具体的なイメージを持っていただくために、 Oracle MAA 可用性レベルにおいて想定されるシステムの構成をまとめています。
以下の点を理解してください。
すでに記載した通り、 Oracle MAAの実装はOracle Enterprise Editionおよび有償オプションを使用することが前提になっています。
この点をりかいしていただくため、以下のスライドでは、マニュアル「ライセンス情報」から、Oracle高可用性機能(の一部)を示しました。
これらのスライドで理解いただきたいのは以下の点です。
もちろん、Oracle Standard Edition 2からOracle Enterprise Editionに移行するのも選択肢の1つですが、 コスト差を考えるとOracle EEの利用は簡単な判断ではありません。
弊社としては、Oracle SE2と3rd Partyベンダの高可用性製品を組み合わせて使用することが適切な策だと考えています。
以下の表は、高可用性機能ごとに、対応するOracle EEの機能とOracle SE2機能および3rd Party製品をまとめたものです。
以下の機能については、Oracle SE2のコア機能だけでは実現が難しく、3rd Partyベンダの高可用性製品を組み合わせて使用する必要があることが分かります。
Oracle SE2でDB再起動の自動化を実現するには、Oracle Restartを使用できます。
Oracle Grid Infrastructureを導入し、Oracleインスタンス(常駐部分)を死活監視、想定外停止時の場合は自動で再起動します。 Oracle Databaseのライセンスがあれば、Oracle Grid Infrastructureは無償で利用できます。
Oracle SE2で遠隔地バックアップを実現するには、RMANとRMANバックアップを遠隔地に保管する仕組みを使います。
RMANは、Oracleに標準添付されるバックアップツールです。RMANを用いて、バックアップを取得し、以下のいずれかの手段を用いて、バックアップを遠隔地に保管します。
DB再起動の自動化、遠隔地バックアップについては、Oracle SE2のコア機能をベースに実現できますが、 以下の機能については、Oracle SE2のコア機能だけでは実現が難しく、3rd Partyベンダの高可用性製品を組み合わせる必要があります。
個別の機能について論じる前に、全体像を示しておきます。
データベースのクラスタ化は、Active-Standby型HAクラスタ構成をとることで実現できます。
データベースサーバーを2台用意し、データベースを共有ディスクに配置することで、 いずれか片方のデータベースサーバーに障害が発生しても、もう1つのデータベースサーバーでインスタンスを起動することで即時に復旧できます。
Active-Standby型HAクラスタ構成の実現方法には主に以下の2つがあります。
Oracle SEHAは、原則的にオンプレミス環境で、共有ディスクを用意できる環境で使用できるソリューションであることに注意してください。
パブリッククラウドなど、共有ディスクを用意できない環境の場合、共有ディスクをソフトウェア的にエミュレートするSIOS社DataKeeperなどを使用する必要がでてきます。
サブ拠点にスタンバイDBを構成するには、Dbvisit Standbyを使用します。
Dbvisit Standbyを使用すると、サブ拠点にスタンバイDBを簡単に構成でき、メイン拠点に障害が発生した場合も、サブ拠点のスタンバイDBをプライマリDBに昇格することで即時復旧可能になります。
Dbvisit Standbyは、プライマリDBで出力されたアーカイブログファイルをスタンバイDBに転送+適用することで、変更をスタンバイDBに同期します。
使いやすい管理コンソールに定評があり、万が一障害発生時にスムーズに障害復旧作業を実行できます。
Dbvisit Standbyには、スナップショット機能があり、過去データを履歴として保持できます。
特に、スナップショットグループを使うと、スナップショットの取得を自動化できるため、便利です。
なお、Dbvisit Standbyスナップショット機能は、データ保護以外の用途にも使用できます(開発、テスト、データ分析、レポート生成)。
準リアルタイム論理レプリケーションは、アップグレード時の停止時間短縮など、様々な用途に使用できます。
弊社では、Oracle SE2向けの論理レプリケーションとして、SharePlex for Oracleをお勧めしています。
コスト比較については、以下も参考になります。
Oracle GoldenGateのライセンス費用試算とSE2環境におけるコスト削減策
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