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Oracle DatabaseのOracle ACE Proが選んだ2025年オラクル10大NEWS

Oracle ACE Proの渡部です。 この記事は、 JPOUG Advent Calendar 2025 1日目の記事です。

2025年の振り返りとして、Oracle Database分野のOracle ACE Proから見たオラクル10大NEWSをまとめてみました。

色々あった(なかった)2025年に想いを馳せていただければ幸いです!

なお、順番に特に意味はありません!

1. 5年 44兆円 データセンター超大型投資をOpenAIと合意?

2025年6月末ぐらいから報道ベースで情報がありましたが、USオラクル社が5年で44兆円のデータセンター超大型投資をOpenAIと合意したようです。なお、私が確認した限り、本件についてオラクル社から正式なニュースリリースはありません。

各種報道を参考にしてまとめた骨子は以下の通りです。

  • トランプ大統領が主導する、米国国内にAIデータセンターを構築する「スターゲート計画 (Stargate Project)」の一環
  • オラクル社の立ち位置は「オラクルがAI向けのデータセンターを構築し、これをOpenAIに対してクラウドサービスとして提供する」というもの
  • 金額の規模は、5年間で約44兆円(約3000億ドル)、年間収入で約4兆3300億円(約300億ドル)
    • 現在のオラクル全体のクラウドの売り上げ(2024年度で約244億ドル)を優に超える巨大なもの
  • 契約が実際に収益を上げるのは、2028年度(27年6月-28年5月)から(結構先の話!)

2. ORCL株価急騰そして急落

上記については2025年6月末ぐらいから報道されていたものですが、2025年9月10日のWall Street Journalからの報道を受けて、USオラクル社の株価は急騰しました。

が、そののち急落し、株価はそれなりに落ち着いた水準になっています。

株価が急落した理由には以下が挙げられます。

  • 上記ビジネスにおけるオラクル社の収益性の低さ(利益率 数%程度?)が見込まれること
  • 発注元であるOpenAI社の経営健全性に対する懸念
  • 電力確保など、データセンター構築にかかわる懸念
  • AIビジネス全体に対するバブル懸念

3. Oracle AI World 2025

上記ニュースにも関連しますが、オラクル社は様々な方向性でAIにシフトしています。それを受け、オラクル社の年次イベントの名称が"Oracle AI World"に変更されました。

なお、オラクル社の年次イベントの当初の名称は"Oracle OpenWorld"でした。2022年から"Oracle CloudWorld"に変更され、2025年度から"Oracle AI World"に再変更された形です。

また、弊社のOracle AI World 2025の参加レポートは以下からご覧いただけます。

https://speakerdeck.com/oracle4engineer/ocwc_20251029_-ai-world-feedback

4. Oracle Autonomous AI Lakehouse

Oracle AI Worldで、Oracle Autonomous AI Lakehouseがリリースされました。

まだ情報があまり出てきていませんが、ポイントは以下のようです。

  • レイクハウス機能を強化した上で、従来のAutonomous Data Warehouseを置き換える位置づけのサービス
  • Managed Oracle DatabaseサービスでであるAutonomous AI Databaseと、オブジェクトストレージ上のIcebergを統合する
  • Iceberg表に対するクエリ高速化機能を持つ: Autonomous AI Database Data Lake Accelerator, Exadata表キャッシュ
  • カタログ機能と連携する: Autonomous AI Database Catalog など

Oracle Autonomous AI Lakehouseのリリースにより、他社の分析系データベースサービスに対する競争力が増すことを期待しています。

Databricks社からのコメントがあることに驚きましたが、Databricksとしては「Snowflakeに対する優位性を出せればOK、Oracleとはうまく棲み分けられる」ということでしょうか…

Databricksのプロダクト・エコシステム&パートナーシップ担当シニア・バイスプレジデント、Stephen Orbanは次のように述べています。「お客様からは一貫して、自社のデータをそのまま使って、すでに持っているツールを使いたいという声をいただいています。DatabricksはアナリティクスとAIにおけるオープンで相互運用可能なデータ・アクセスにコミットしており、Unity CatalogがApache Icebergなどの形式に対する統合ガバナンス・レイヤーを提供することで、それを実現します。『Oracle Autonomous AI Lakehouse』のUnity Catalog連携を歓迎します。これにより、共通のお客様はデータへシームレスにアクセスでき、OracleとDatabricksを柔軟に併用できるようになります。」

[参考]

5. Oracle AI Database 26aiのリリース

Oracle AI Worldで、突如 Oracle AI Database 26aiがリリースされました。

詳細は以下の記事をご覧いただきたいのですが、

Oracle AI Database 26aiとは: 23ai後継 / サポート期間 / 新機能 / 廃止機能

重要なポイントは以下の2つです。

  1. 製品名が"Oracle Database"から"Oracle AI Database"に変わった
    オラクル社全体のAIシフトの方針もあってか、 製品名が"Oracle Database"から"Oracle AI Database"に変更されました。
  2. バージョン "23ai" が "26ai"に置き換えられた
    Oracle Database の最新リリース(バージョン)は 23ai (旧23c)でしたが、Oracle AI Database 26aiは23aiを置き換える位置づけになります。すなわち、Oracle Database 23ai は無くなります。そして、Oracle Database 23aiとOracle AI Database 26ai は併存"しません"。

6. オンプレ版Oracle 26ai やはり2025年にもリリースされず…

上記の通り、23aiを置き換える形でOracle AI Database 26aiがリリースされたのですが、リリース対象プラットフォームは23aiと同様です。すなわち、クラウド、エンジニアドシステムにのみリリースで、通常のオンプレ版提供はいまのところありません…。

2025年が終わるまで、あと1ヶ月ありますが、おそらくリリースされないのでしょう…

オンプレミス版Oracle Database 23aiのリリース予定日が2025年に + 19cのPremier Supportが大幅延長

7. OCIが4番目のクラウドプロバイダーとして認知されてきている

AIトレンドに乗った動きもありますが、OCIは着実にシェアを伸ばしてきているようです。

クラウドプロバイダーのシェアについては、たいてい上位3社(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud)についてのみ数字が公開され、Oracleを含めたそれ以外については、"Others"としてひとまとめで扱われることが多く、OCIのシェアを把握することが難しいです(おそらく、実際的にも上位3社にくらべると数値がとても小さく、誤差や尺度の違いなどを考慮すると、公開する意義もないのでしょう)。

ですが、少なくとも、開かれた市場/国家における、エンタープライズ領域のIaaS相当のサービスという観点では、OCIが4番目のクラウドプロバイダーとして認知されてきているようです。

現在、オラクルのOracle Cloudはクラウドインフラ市場においてGoogle Cloudに次いで4番目のシェアを獲得していると推測されます。

8. Oracle Cloud大規模セキュリティ侵害疑惑

2025年3月ごろ、「Oracle Cloudに大規模なセキュリティ侵害がなされたのではないか?」との噂が立ちました。 オラクル社から正式なアナウンスがないため、真偽のほどは定かではありませんが、日米公的機関からいくつか情報が出ていることを考えると、何らかのセキュリティ侵害があったことは事実のようです。

米Oracle(オラクル)のクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」にログインする際のSSO(シングルサインオン)サーバーが脅威アクターに攻撃され、約600万件の認証情報が窃取された疑惑が出ている。

米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は2025年4月16日(現地時間、以下同)、「Oracleのレガシーなクラウド環境に侵害の恐れがあるため、組織や個人は自社の環境を保護するための対策を講じるべきだ」と述べた

繰り返しになりますが、本件については、オラクル社から正式なアナウンスがありません。よって、詳細は分からないのですが、いくつかネット上にある情報を引用しておきます。

Oracleは一貫してOracle Cloudの侵害は発生していないとしている。しかしDoublePulsarは「Oracleが『Oracle Cloud』とその旧サービス名称である『Oracle Classic』を使い分けることで責任を回避しようとしている」と指摘している。

According to the threat actor, the breach began with the compromise of an unpatched Oracle Cloud Classic server?part of Oracle's Gen1 infrastructure. In an email exchange with BleepingComputer, the attacker said they used "a public CVE (flaw) that does not currently have a public PoC or exploit."

9. OCI/Oracle Databaseのマルチクラウド対応を継続強化

OCIの着実なシェア伸長に寄与している1つに、OCI/Oracle Databaseサービスのマルチクラウド対応があると思われます。 オラクル社はこれまでに引き続き、マルチクラウド対応を強化し続けています。

以下に主なニュースをまとめました。

10. Oracle Alloyを用いたソブリンクラウドの動き

目についたビジネス面でのOCIの動きとしては、Oracle Alloyを用いたソブリンクラウドの動きがありました。

Oracle Alloyは、端的に言うと、日本のSIerがOCI基盤を活用して自社クラウドサービスを立ち上げることができる仕組みです。

2025年12月時点で、NRI、富士通、NTTデータ、ソフトバンクの4社がOracle Alloyを用いたソブリンクラウドを稼働開始または計画しているようです。

さて、ソブリンクラウドとはそもそも何なのでしょうか? GoogleのAI要約によると

https://www.google.com/search?q=%E3%82%BD%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89

ソブリンクラウドとは、各国の法律や規制に準拠して、データ主権を確保するためのクラウドサービスです。具体的には、データの保管場所が国内に限定され、国の司法権の範囲内で管理されるのが特徴です。経済安全保障の観点から注目されており、機密性の高いデータを扱う政府機関や重要インフラ分野などで導入が進んでいます。

ということなのですが、「各国の法律や規制に準拠」って当たり前と言えば当たり前なわけで、ピンとこない気もします。すみません、丁寧な説明/議論は割愛しますが、個人的には「日本のマーケットにおける」Oracle Alloyを用いたソブリンクラウドのポイントは以下だと思っています。

  • AWSとの差別化
  • SIerが「追加料金を正当化できる自社クラウドサービス」を提供できる現実的な手段

なお、ミックさんによると、

このソブリンクラウドという概念が本当に意味を持つのは、繰り返しになるが、欧州においてである。

ということだそうです。たしかに、日本人はUSのサービスが使用できなくなるような事態なんて、全く想像していないでしょうからね…

明日の記事

以上が、Oracle Database分野のOracle ACE Proから見たオラクル10大NEWSです。

JPOUG Advent Calendar 2025 の明日2日目の記事は、wmo6hashさんに執筆いただく予定です。wmo6hashさん、よろしくお願いいたします!

プロフィール

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渡部 亮太

・Oracle ACE
・AWS Certified Solutions Architect - Associate
・ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g, 12c 他多数

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