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コーソルのお役立ちコラム

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データベースの導入で期待できるメリットと気をつけたいデメリット

「データベースにはどんなメリットがあるの?」「期待できる効果を教えて欲しい」などと考えていませんか。導入にあたり情報を集めている方は多いでしょう。データベースを導入すると、蓄積したデータを有効活用しやすくなります。マーケティング施策の精度を高められることもあります。ただし、導入にあたり気をつけたい点がないわけではありません。ここでは、データベースに期待できる10のメリットと導入前に押さえておきたいデメリットを解説しています。データベースについて、理解を深めたい方は参考にしてください。

データベースとは

簡単に説明すると、一定のルールに基づいて整理されたデータの集まりです(検索するソフトウェアなどを含めてデータベースと呼ぶこともあります)。ルールに従い、ひとつの場所でデータを管理するため、必要に応じて検索するなど、データを容易に活用できます。身近なデータベースとして、企業が利用している顧客管理ツール、病院が導入している電子カルテなどがあげられます。たとえば、顧客管理ツールは、顧客情報を氏名や住所、電話番号などの項目にわけて整理していることが一般的です。データベースのポイントは、集めた情報を抽出、編集、共有しやすいように、整理していることといえるでしょう。単にデータを集めているだけではありません。

代表的なデータベース3種類

データベースは、主に以下の3種類に分類できます。

【種類】

  • ネットワーク型データベース
  • 階層型データベース
  • リレーショナル型データベース

それぞれの概要は次のとおりです。

ネットワーク型データベース

子データが複数の親データをもてる種類です。関連性のあるデータを結び付けて、網状の構造で整理するデータベースといえるでしょう。たとえば、生徒Aが野球部と書道部に所属している場合、どちらからでも生徒Aへアクセスできます。反対に、生徒Aから野球部と書道部へアクセスすることも可能です。したがって、この後で説明する階層型データベースのように、野球部、書道部の子データに生徒Aを登録する必要はありません。親データを複数もてるため、重複登録を避けられる点、現実の関係を表しやすい点が特徴です。ただし、上位、下位関係、データ構造は複雑になる傾向があります。

階層型データベース

1つの親データが1つ以上の子データをもつ種類です(子がもつ親は1つ)。社長の下に営業部、製造部、営業部の下に第一営業課、第二営業課、製造部の下に生産管理課、設計課があるイメージです。このような構造を階層構造といいます。根から枝や葉が伸びているように表されるため木構造(ツリーストラクチャー)と呼ぶこともあります。このタイプの強みは、階層構造と一致すれば素早くデータを検索できることです。ただし、子が複数の親をもつ場合は重複登録が必要になります。また、階層構造をもつデータしか扱えません。ネットワーク型データベースより柔軟性はやや低いといえるでしょう。

リレーショナル型データベース

数学の集合論に基づく種類です。各行、各列にデータを納めている点が特徴といえるでしょう。列にはデータの項目、行には項目に該当するデータが納められます。つまり、表を用いてデータ構造を表します。主な強みは、複数の表を関連づけて運用できることです。扱いやすいため、ここで紹介している3種類の中で、最も広く用いられています。ただし、複雑な処理に、時間がかかることがあります。

データベースの導入で得られるメリット

データベースの導入には、さまざまなメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。

メリット①データ管理や検索の効率化ができる

データベースを導入すると、データ管理、データ検索を効率化できます。収集した情報を関連付けて一元管理するためです。たとえば、オンラインショップであれば、顧客の基本的な情報に、購入した商品、購入した日時などの情報を紐づけて管理します。住所や電話番号などの情報に変更があった場合は、1つの情報を変更すれば他のデータにも反映されます。同じ情報を何度も書き直す必要はありません。また、管理しているデータの中から必要なデータを抽出することも可能です。導入により、業務効率を改善できるでしょう。

メリット②入力エラーやデータ破壊などの人的なミスを防げる

人為的なミスを防ぎやすくなる点も魅力です。データベースを導入すると「数字のみ入力できる」などのような入力規則を設定できます。したがって、注意するだけでは取り除くことが難しい誤入力を防げます。バックアップを行いやすい点もポイントです。導入によりデータを適切に管理できます。もちろん、表計算ソフトでもデータは管理できますが、手作業が基本となるため、人為的なミスで誤ったデータを入力したりデータを消してしまったりすることがあります。これらのリスクを抑えられる点はデータベースの強みです。

メリット③データが活用できる

データベースを導入すると、蓄積したデータを有効活用しやすくなります。具体的には、膨大なデータの中から、ある情報を検索、抽出することが可能です。さらに、蓄積したデータを用いて、集計を行ったりグラフを作成したりすることもできます。したがって、既存のデータを分析しやすくなります。たとえば、過去のデータと現在のデータを比較して、現状を正確に把握する、適切な意思決定を行うといったこともできるでしょう。ビジネスに活用すると、施策の精度を高められる可能性があります。

メリット④不正アクセスの対処ができる

一般的に、データベースは、不正アクセスに強いと考えられています。保管したデータに対するアクセス履歴、編集履歴を記録できるためです。「アクセスがいつあったか」などを把握できるため、万が一、不正アクセスがあったとしても特定できます。データベースを導入すると、データに対する信頼性が高まります。以上の特徴があるため、データに基づき重要な意思決定を行いたい場合に向いているといえるかもしれません。

メリット⑤すばやいデータ検索ができる

一定のルールに基づきデータを保管するため、データ検索を簡単かつ素早く行えます。たとえば、膨大な顧客情報の中から「男性、30歳以上、購買回数1回以上」「女性、40代、購入金額1万円以上」などの条件で該当するグループを検索することも可能です。手軽にターゲットを絞り込めるため、マーケティングなどに活用しやすいでしょう。また、専門的なスキルがあれば、任意のタイミングでデータを取り出すといったこともできます。データ検索の利便性が高まる点も強みです。

メリット⑥データ同士の紐づけができる

関連するデータを紐づけられる点も、データベースの特徴としてあげられます。紐づけを行ってから情報を更新すると、紐づけた別のデータにも反映されます。たとえば、顧客情報のデータを更新すると、紐づけておいた販売管理のデータにも反映されるのです。顧客情報のデータを更新してから、販売管理のデータも更新するといった作業は必要ありません。更新作業の手間を省けるうえ、抜けや漏れも防ぎやすくなるでしょう。

メリット⑦ログ管理ができる

前述の通り、データベースは不正アクセスに対処できます。主な理由は、ログ管理を行えるためです。ログは、コンピューターの使用状況、サーバーへのアクセスなどに関するタイムスタンプ付きの記録です。データベースを活用すると、これらをログファイルに残して保管できます。したがって、アクセスを監視したり不正アクセスを特定したりできるのです。ログ管理を行えることで、データの信頼性が大きく高まります。

メリット⑧チーム作業を効率化できる

チームで作業を行える点も魅力です。一般的な表計算ソフトとは異なり、他のスタッフと同時に操作、編集できます。もちろん、同時に操作、編集を行っても、データが壊れることはありません。チームで作業を行いたい場合や作業効率を高めたい場合は、データベースの導入が適しているといえるでしょう。不正アクセスのリスクは、アクセス履歴を活用することで管理できます。複数のスタッフがアクセスできる状態でも、データの信頼性を保てます。

メリット⑨膨大な量のデータを管理できる

導入により膨大なデータを管理することもできます。一定のルールに基づき管理する点がポイントです。データベースを活用すると、膨大なデータを有効活用できる状態になります。たとえば、すべてのデータの中から、特定の条件にあてはまるグループを抽出することもできます。また、他のシステムと連携して、データを活用することも可能です。自社に蓄積したデータの価値を高められる可能性があります。

メリット⑩バックアップ機能がついている

バックアップ機能が付いている点も強みです。何かしらの理由でデータが壊れたとき、データを誤って削除してしまったとき、データを誤って更新してしまったときなどに、バックアップから復元できます。万が一のトラブルが起きたときも安心です。大切なデータを安全に保管できる点も、導入後に期待できるメリットといえるでしょう。

【関連記事】:データベースの種類は?役割やメリット・課題について詳しく解説

データベース導入のデメリット

データベースの導入には、気をつけたいデメリットもあります。ここからは、主なデメリットを紹介します。

デメリット①コストがかかるケースもある

データベースソフトは、有償の製品と無償の製品にわかれます。後者は無料で利用できますが、選択肢はそれほど多くありません。また、できることも限られています。有償の製品は、選択肢が多いうえ原則としてさまざまな機能を備えます。ただし、年払いまたは月払いで、利用料がかかります。コストがかかる場合は、詳細を確かめておくことが大切です。

デメリット②データ収集と分析しかできない

データベースの主な役割は、データを収集することとデータを分析することです。収集したデータからグラフを作成することはできますが、グラフを活用して集客施策を立案したり予算を配分したりすることはできません。データの活用は、スタッフの役割です。データベースを導入したとしても、スタッフの知識や経験が不要になるわけではありません。データを有効活用できる人材が求められます。

デメリット③専門知識が必要なケースもある

データベースソフトの多くは、開発に専門的な知識を要します。エンジニア向けのソフトとして販売されているケースが多いためです。社内に適切なスタッフがいない場合は、新たな人材を確保しなければならない可能性があります。あるいは、ノーコードをコンセプトに開発された製品を選ぶとよいでしょう。ソースコードの記述を必要としないため、専門的な知識がないスタッフでも開発できます。

デメリット④導入・運用コストがかかる

データベースを利用すると、原則として導入コストと運用コストがかかります。具体的なコストはケースで異なりますが、自社で開発する場合は導入コストとしてシステムの開発費用、設備の購入費用など、運用コストとしてメンテナンス費用などがかかるでしょう。クラウド型を利用する場合は、導入コストとして初期費用、運用コストとして利用料がかかります。機能やスペックにこだわると、コストは割高になる傾向があります。すべての企業が優れた機能、スペックを必要とするわけではありません。自社の予算と目的などを踏まえて導入することが大切です。

デメリット⑤自社システムと連携できない可能性がある

既に導入している自社システムとデータベースを連携させると、効率よくデータを収集できるうえ、集めたデータを有効活用しやすくなります。ただし、自社システムと新たに導入するデータベースを必ず連携できるわけではありません。連携できない場合は、データの収集に時間がかかったり、無駄な作業が発生したりすることが考えられます。自社システムを導入している場合は、連携の可否を確認しておくことが重要です。

デメリット⑥システム管理者の負担が増える

データベースの導入により、システム管理者の負担は増える傾向があります。新たに、データベースシステムを管理しなければならないためです。関連する知識が乏しい場合は、負担が大きくなりがちです。必要に応じて、新たな人材を配置する、外部事業者へ委託するなどの対応が必要になることもあります。

【関連記事】:DB設計の正規化と手順|押さえておきたいメリット・デメリット

データベース導入前にメリット・デメリットを理解

ここでは、データベースのメリットとデメリットを紹介しました。データベースは、ルールに基づいて整理されたデータの集まりです。データを効率よく管理できる、活用できる、人為的ミスを防げるなどのメリットがあります。ただし、導入には、原則としてコストがかかるうえ、専門的な知識も求められます。また、最終的にデータを活用するのは人です。業務に関する知識や経験が不要になるわけではありません。デメリットに注意しつつ、データベースを導入、活用することが大切です。

この記事の監修者

監修者の写真

舛井 智行 (ますい ともゆき)

営業本部 企画&マーケティング部 次長

《資格》

Oracle Master Gold、Oracle RAC Expert、Linux Expert、LPIC Level1、Dbvisit Standby Certified Associate、基本情報技術者

《略歴》

2004年コーソル入社。2019年まで一貫してOracle Databaseの設計・構築・運用のサービス提供に従事。リモートDBAやリモート監視のサービス化、働き方改革プロジェクトで人事制度改革を手掛ける。2019年からライセンス販売強化のため企画&マーケティング部に異動。DbvisitやToad、DPAの取扱開始、販売促進活動を推し進め、ライセンス販売事業の売上拡大に注力中。

《主な著書》

オラクルマスター教科書 Gold DBA Oracle Database AdministrationⅡ
オラクルマスター教科書 Silver DBA Oracle Database Administration I
オラクルマスター教科書 Silver SQL Oracle Database SQL
Oracleの基本 ~データベース入門から設計/運用の初歩まで
プロとしてのOracle入門
Oracle Database 10g Oracle Enterprise Manager 逆引きクイックリファレンス

《担当者様からの一言》

コーソルはOracle Databaseの技術力において日本有数の知見を有すると自負しています。Oracle Masterの最高峰資格である『Oracle Master Platinum』の取得者数も日本No.1です。Oracle Databaseのことはもちろん、それ以外のDBについてもリモートDBAサービスを始めとした様々なサービス、製品を駆使してお客様のお困りごとを解消いたします。お困りごとがあればコーソルまでご相談ください。

監修者の写真

峯岸 隆一 (みねぎし りゅういち)

インフラソリューション部 市ヶ谷クラウドサービスチーム シニアエキスパート

《資格》

Oracle Master Gold、ORACLE MASTER Platinum、Oracle RAC Expert、
Oracle Database Cloud Service Oracle Infrastructure as a Service Cloud 2017 Implementation Essentials、
Oracle Cloud Infrastructure 2018 Architect Associate、
Oracle Cloud Infrastructure 2019 Architect Professional、
AWS Certified Solutions Architect – Associate、OSS-DB Silver、
MySQL 5.6 Database Administrator、基本情報技術者、テクニカルエンジニア(データベース)

《略歴》

2006年コーソル入社。2021年までOracle Databaseを中心にMySQLやGoldenGateなど、多岐にわたる製品のサポート業務に従事。2021年から企画&マーケティング部に異動し、Nutanix NDBサービス化、Qlik Replicateサービス化、AWS、OCIなど様々な製品のサービス化、クラウド環境上の製品検証、ブログ執筆を手掛ける。2023年からOCI技術に磨きをかけるべくOCI基盤の設計・構築業務を遂行中 。

《主な著書》

オラクルマスター教科書 Gold DBA Oracle Database AdministrationⅡ
オラクルマスター教科書 Silver DBA Oracle Database Administration I
オラクルマスター教科書 Silver SQL Oracle Database SQL  Oracleの基本 ~データベース入門から設計/運用の初歩まで

《担当者様からの一言》

コーソルはOracle Database製品および周辺製品において特化した技術力を有している会社です。また、育成にも力を入れており、新卒などOracle Databaseの知識がないエンジニアでも数年でOracle Master Platinumを取得するほどのエンジニアに育て上げることに成功しています。クラウド分野(AWS、Oracle Cloud)にも積極的に進出しておりますので、Oracle Databaseに関するサービスをご要望であればプラットフォーム問わず対応できるコーソルにご連絡下さい。

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