データベースの導入を検討している方に向けて、データベース監視の監視項目について解説します。
データベースを扱っていると、どのように監視すればよいのかと迷うこともあるのではないでしょうか?
たとえば「監視に抜けはないのか?」「エラーの原因はなにか?」など…。
そこで今回の記事では、データベースの監視項目と監視をすることによるメリット・デメリットを解説します。
参考にしていただければ、データベースを始めて導入する場合でも、監視項目についてご理解いただけるはずです。
目次
データベース監視とは
データベース監視項目について確認する前に、まずデータベース監視とはどのようなことか見ていきましょう。
データベース監視の概要
データベース監視とは、データベースを定期チェックを行うことです。
チェックされる項目は、主に次のとおりです。
【チェック項目】
- テーブルの使用状況
- インデックスの使用状況
- SQLのパフォーマンス
- データベース自体の確認
以上のチェックを行うことによりデータベースの稼働とパフォーマンスを維持させます。
データベース監視の目的
データベース監視の目的は、データベースが正しく動いているか確認して有事への対応力を高めることにあります。
データベースは業務で使用されるさまざまなデータを保管している場所です。
格納されているデータがもしすべて消滅してしまったら、大きな損害にならないとも限りません。
そこで定期的に、正常に稼働しているか確認して安定性を維持します。
データベース監視を行っていれば、もしも障害が起きたとしても迅速に対応できるでしょう。
正しく稼働されているかどうかを確認し、不具合や障害が起きたときの対応力を高めることがデータベース監視の目的です。
データベース監視の項目
それではデータベースの監視項目について見ていきましょう。
データベース監視の際にチェックされる項目は、主に次の3つです。
監視項目1:ログファイルの監視
まずはログファイルの監視です。
ログファイルの監視はパフォーマンスの低下やデータの以上を把握するために必要となります。
システムによってはなにかトラブルが起きた場合に、トラブルの深刻度に応じたメッセージレベルが設定されていることも。
ログファイルにメッセージが表示されることもあります。
ファイル内に出力されたメッセージも含めて確認しましょう。
監視項目2:プロセスの監視
プロセスもデータベース監視において重要な監視項目です。
データベースが異常な状態で停止することを予測するには、プロセスの監視が必要となります。
特に重要となるのが「マスタープロセス」の監視です。
他のPostgresプロセスにおいては監視しなくても、特に大きな問題はありません。
しかしマスタープロセスにおいては、異常停止した際に再起動もしくは異常停止されます。
そのためデータベースの監視項目として欠かせないポイントです。
監視項目3:空き容量の監視
空き容量もデータベースにおける監視項目のひとつです。
ディスクの空き容量がなければ、データが破損したり、異常停止したりする可能性が高まります。
データを保持するには、空き容量を確保しておくことも必要です。
もしファイルシステムの空き容量が少なくなると、データベースサーバーが異常停止してしまうことも。
しきい値を余裕のある状態に設定しておき、20%未満にならないように注意してください。
データベース監視の方法
データベースの監視項目3つについて解説してきました。
それでは実際に監視をするためには、どのような方法で行えばよいのでしょうか?
代表的な4つの監視方法について解説するので、これからデータベースの監視を実施したいと思われるならぜひ参考にしてください。
監視方法1:ログ監視
まずはシステムログの監視を行う「ログ監視」です。
データベースが出力するログには、さまざまなメッセージが書き込まれます。
そのためログを監視していれば、異常メッセージをいち早く察知できるでしょう。
ログ監視は出力されたログをすぐに確認すれば、リアルタイムで異常を把握できます。
システムに決定的な異常が起こる前に状態を把握するには、ログ監視が役立つはずです。
監視方法2:状態監視
続いてはデータベースの状態監視です。
データベースの状態を確認して、プロセスやサービスに異常がないかをチェックする方法です。
たとえばプロセス数が足りていなければ、すぐに管理者に知らせなければなりません。
プロセスが停止してしまった場合や、ポートの反応がない場合も同様です。
ログインやデータの読み書きを行うと、データベースが正常に稼働しているかどうかわかりやすくなるでしょう。
監視方法3:領域監視
領域監視とは、データベースにおけるさまざまな領域が適切に使われているかを確認する方法です。
たとえばデータを格納しておくには、表領域が必要となります。
データの更新・削除のためにはキャッシュメモリが空いていなければなりません。
上記のような領域の使用状況を監視するのが領域監視です。
もし不足手しているようであれば、領域の空きを確保するための対策が必要となります。
監視方法4:パフォーマンス監視
最後のパフォーマンス監視とは、データベースへの書き込みや読み込みの処理速度をはかることです。
処理性能が低くなれば、データベースとしての価値が低くなり業務効率が低下することもあるでしょう。
そこで処理性能をチェックするための監視が行われます。
具体的にはキャッシュヒット率を監視したり、SQLの解析度を確認したり、リソースの使用率を検証したりします。
データベースとしての性能を維持するために必要となる監視だと言えるでしょう。
データベース監視のメリット
データベース監視を行うことには、次のようなメリットがあります。
【メリット】
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- データベースのパフォーマンス向上をはかれる
- リソースを確保できる
- セキュリティレベルを高められる
- 障害を未然に防げる
- 障害時の復旧速度を高める
監視することにより、データベースのパフォーマンス向上と障害への対策の両方が得られます。
もしそのまま放置していれば、パフォーマンスが低下していても気づかず、そのまま利用しまうこともあるでしょう。
また障害が起こりそうになっていても、気付けないこともあるかもしれません。
監視項目に従ってデータベース監視をすれば、より良い状態で、安全にデータベースを利用できることがメリットです。
【関連記事】:システム監視項目の洗い出し方と管理に関する注意点を確認
データベース監視のデメリット
データベース監視にはメリットだけではなくデメリットもあります。
【デメリット】
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- コストが必要となる
- データベースに関する専門知識を持つスタッフが必要となる
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デメリットであると言えるのは、コストと専門知識が必要となることです。
データベース監視のためには監視ツールを導入しなければならず、導入のために費用が必要となります。
また監視ツールを使いこなすための技術や知識を備えた、専門知識を持つ従業員も必要となるでしょう。
監視はデータベースをスムーズに活用するために欠かせないものですが、デメリットがあることも知ったうえで利用しましょう。
データベース監視ツールでできること
これからデータベース管理ツールを導入したいと思われている方もいるでしょう。
その前に、データベース監視ツールではどのようなことができるのでしょうか?
主な機能である2点について解説しますので、導入の前に把握しておいてください。
できること1:データベースの状態をリアルタイムでモニタリングする
まずはデータベースの状態をリアルタイムでモニタリングできることです。
データベースの監視においては、監視項目が多く担当者への負担が大きくなりやすい傾向があります。
しかし監視ツールを導入すれば、リアルタイムで監視をして、異常があった場合に通知してくれる機能が備えられています。
24時間365日体制で監視をすることは簡単ではありません。
しかし監視ツールであれば常にリアルタイムのモニタリングをし、データを安全な状態に保てるでしょう。
できること2:不正行為を予防する
もうひとつの機能は、不正行為を予防することです。
データベースの監視ツールには、アクセス情報を記録する機能が備わっています。
たとえばいつどこで、誰が、どのようなデバイスにてアクセスしたかも記録されます。
そのためデータベースに格納されているデータの改竄を防ぐためにも役立つでしょう。
第三者による乗っ取りを不安に思う必要もありません。
不正行為を防ぐための機能が充実していることから、データの保護のためにも適しているのが監視ツールです。
データベース監視ツールの選び方のポイント
データベース監視ツールには、監視以外にも役立つ機能が搭載されています。
これから導入しようと検討されている方のために、監視ツールの選び方のポイントを3つご紹介します。
ポイント①自社に必要な機能を把握する
ツールを選ぶには、まず自社にとって必要な機能を把握することが重要です。
自社にとって必要な機能を分析できないままに導入すると、あまり役立たたないシステムを導入してしまうことがあります。
継続的に管理ができ、さらにデータの利活用が有効に行われるかどうかを検証して、有効であると判断できた場合に導入しましょう。
システムの中には、無料トライアルに対応しているところも少なくありません。
複数社のデータベースを試してみて、自社のニーズに最も合うと思ったものを採用しましょう。
ポイント②自社のシステムに対応しているか確認する
自社のシステムに対応しているかどうかの確認も必要です。
自社内のデータベース管理システムがすでにある場合、連携できる監視ツールであるかどうかも大切な選び方のポイントとなります。
既存のシステムに対応していること、利用したい機能を利用できることを確認したうえで導入して下さい。
ポイント③導入までの時間を確認する
最後のポイントは導入までの時間を確認することです。
導入するのに必要な時間はシステムによって異なります。
1か月かかるかもしれませんし、1週間でつかえるようになるかもしれません。
中には今すぐにセキュリティを強化したいと考えている方もいるでしょう。
すぐに導入したいとの場合は、それぞれのメーカーに相談をしてできる限り早めに導入できるものを採用するべきです。
データベースの監視には監視項目に注意して
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、データベースの監視項目についてご理解いただけたと思います。
データベースの監視項目は、データベースを正常に保つためにチェックしなければならないポイントです。
基本的な監視項目を押さえておけば、データベースの異常にもいち早く気づけるでしょう。
株式会社コーソルでは、データベースを始めて導入する方でも、ボトルネックを特定できるよう監視ツールの提供を行っています。
データベースは企業内のあらゆる重要データを管理するためのものです。
堅牢性を高めるためにも、ぜひ管理ツールの導入をご検討ください。