クラウドとオンプレミスの良さを兼ね備えたOracle Cloudには、認定資格があることをご存じでしょうか。
とはいえ、Oracle Cloudを学習中の場合「資格よりも実務経験のほうが重要なのでは」と思われるかもしれません。
しかし、資格は知識を習得している客観的な指標となり、エンジニアとしてのキャリアアップにもつながります。
そこで今回は、主なOracle Cloud認定資格をお伝えします。
「Oracle Cloudの資格取得を目指したい」とお考えの担当者様は、ご一読ください。
目次
主なOracle Cloud認定資格
Oracle Cloudには、Databaseやといった幅広いジャンルの認定資格があります。
ここでは、そのなかでも代表的な認定資格であるOracle Cloud InfrastructureとPaaS、SaaS、をピックアップして紹介します。
なお、本記事の内容は2024年12月時点での情報です。
資格認定試験のなかには、2025年版が新たにリリースされ、それに伴って試験内容が変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
Oracle Cloud Infrastructure関連資格
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、Oracle社が提供するパブリッククラウドサービスです。
IaaSとPaaSの双方の提供によって、50を超えるさまざまなサービスを利用できるように用意されています。
IaaSとは、Infrastructure as a Serviceの略で、システムを稼働させるのに必要な仮想サーバーやネットワークなどのインフラを、クラウド上で提供するサービスのことです。
なお、PaaS関連資格に関しては、次項で紹介します。
以下の表に、Oracle Cloud InfrastructureのなかからIaaS関連資格を取り上げてまとめました。
【Oracle Cloud Infrastructure関連資格の概要】
試験番号 | 試験名 | 試験時間 | 出題数 | 合格ライン(正答率) |
1Z0-997-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Professional | 90分 | 非公開 | 65% |
1Z0-1067-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Cloud Operations Professional | 90分 | 非公開 | 65% |
1Z0-1072-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Associate | 90分 | 50問 | 68% |
1Z0-1084-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Developer Professional | 90分 | 50問 | 68% |
1Z0-1104-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Security Professional | 90分 | 非公開 | 65% |
1Z0-1085-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Foundations Associate | 60分 | 40問 | 65% |
1Z0-1122-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 AI Foundations Associate | 60分 | 40問 | 65% |
基本的には選択問題ですが、一部では実技試験も含まれています。
また、“Oracle Cloud Infrastructure 2024 Foundations Associate”と“Oracle Cloud Infrastructure 2024 AI Foundations Associate”の2つの試験は、無料で受験できます。
そのほか5つの試験には受験料がかかるため、詳細は公式サイトを確認しましょう。
PaaS関連資格
PaaSとは、Platform as a Serviceの略で、アプリケーションを稼働させるプラットフォームを、クラウド上で提供するサービスのことです。
Oracle Cloud InfrastructureのPaaS関連資格は、以下の通りです。
【PaaS関連資格の概要】
試験番号 | 試験名 | 試験時間 | 出題数 | 合格ライン(正答率) |
1Z0-931-24-JPN | Oracle Autonomous Database Cloud 2024 Professional | 90分 | 50問 | 68% |
1Z0-1093-24-JPN | Oracle Cloud Database Service 2024 Professional | 90分 | 50問 | 68% |
1Z0-1194-24-JPN | Oracle Cloud Database 2024 Migration Professional | 90分 | 50問 | 68% |
PaaS関連資格の試験は、先ほどご紹介したOracle Cloud Infrastructure関連資格とは異なり、いずれの試験であっても受験料がかかります。
SaaS関連資格
SaaSとはSoftware as a Serviceの略で、プラットフォームに加えてソフトウェアまで包括しているクラウド上のサービスのことを指します。
Oracle Cloud認定資格のなかで、SaaSに関連しているのは以下の5つです。
【SaaS関連資格の概要】
試験番号 | 試験名 | 試験時間 | 出題数 | 合格ライン(正答率) |
1Z0-1054-24-JPN | Oracle Financials Cloud: General Ledger 2024 Implementation Professional | 90分 | 非公開 | 実技問題:75%
選択問題:68% |
1Z0-1055-24-JPN | Oracle Financials Cloud: Payables 2024 Implementation Professional | 90分 | 非公開 | 実技問題:75%
選択問題:68% |
1Z0-1056-24-JPN | Oracle Financials Cloud: Receivables 2024 Implementation Professional | 90分 | 非公開 | 実技問題:75%
選択問題:68% |
1Z0-1065-24-JPN | Oracle Procurement Cloud 2024 Implementation Professional | 90分 | 非公開 | 実技問題:75%
選択問題:68% |
1Z0-1080-24-JPN | Oracle Planning 2024 Implementation Professional | 90分 | 50問 | 68% |
“Oracle Planning 2024 Implementation Professional”を除き、ほか4つの試験には実技問題も含まれます。
追加での対策が必要になるため、後述するコンテンツをうまく活用して対策すると、合格により一層近づけるでしょう。
初学者におすすめのOracle Cloud認定資格
ここまでお読みいただき、「Oracle Cloud認定資格に多くの種類があるのはわかったけど、どれから受けようか迷う」「初学者向けのものを知りたい!」と思われたかもしれません。
Oracle Cloud認定資格を初めて受験するのであれば、基礎となるOracle Cloud Infrastructure関連資格から取り組むとよいでしょう。
なかでも初学者におすすめの資格は、以下の3つです。
【初学者に適しているOracle Cloud Infrastructure関連資格】
難易度 | 試験番号 | 試験名 | 試験時間 | 出題数 | 合格ライン(正答率) |
入門 | 1Z0-1085-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Foundations Associate | 60分 | 40問 | 65% |
中級 | 1Z0-1072-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Associate | 90分 | 50問 | 68% |
上級 | 1Z0-997-24-JPN | Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Professional | 90分 | 非公開 | 65% |
Foundationsが入門レベルともっとも低く、Associate、Professionalの順に難易度が段階的に高くなります。
そのため、Oracle Cloud認定資格のスタートとしては、“Oracle Cloud Infrastructure 2024 Foundations Associate”の受験をおすすめします。
この試験は無料かつ、オンラインで何度でも受験できるのもうれしいポイントです。
Foundationsを取得できたら、Associate、Professionalとステップアップしてみてください。
Oracle Cloud認定資格の学習に役立つコンテンツ
Oracle Cloud認定資格の取得を目指すうえでは、適切なコンテンツの選択が欠かせません。
取得を目指すOracle Cloud認定資格を決めたら、まずは試験範囲を公式サイトで確認します。
当然のことではありますが、試験範囲外の内容を学習しても資格取得にはつながらず、合格も遠のいてしまいます。
試験範囲をチェックできたら、目標達成に向けて学習をスムーズに進めるためのコンテンツを探しましょう。
そこでここからは、Oracle Cloud認定資格を学習するうえで知っておきたい、5つのコンテンツを紹介していきます。
なおここでは、すでに取り上げたOracle Cloud Infrastructure関連資格を中心に、おすすめのコンテンツをお伝えします。
ご自身に合ったコンテンツを見つけられるよう、ぜひ参考になさってください。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)公式ドキュメント
まずOracle Cloud認定資格の学習を進めるうえで欠かせないのが、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)公式ドキュメントです。
Oracle Cloud Infrastructureの各サービスの仕様や制約、具体的な操作手順など、あらゆる情報が詰まっています。
日本語版と英語版があり、概要を理解する目的であれば日本語版で問題ありませんが、最新情報が反映されていない可能性があります。
そのため、最新情報を知りたい場合は英語版を確認しましょう。
このドキュメントはOracle社が公式で出しているマニュアルなので、Oracle Cloud認定資格の学習時に活用しない手はありません。
Oracle Cloud Infrastructure 活用資料集
Oracle Cloud Infrastructure (OCI) 公式ドキュメントをある程度読み込んだら、Oracle Cloud Infrastructure 活用資料集を使って、学習を進めましょう。
Oracle Cloud Infrastructure 活用資料集には、Oracle Cloud Infrastructureの概要や主なサービス、ソリューション別の資料がPDFや動画などでまとめられています。
PDFには要点がコンパクトに集約されており、動画では実際の操作画面に合わせて機能が説明されています。
効率的に情報収集したいときや、マニュアルで学んだ内容を復習したい場合などにぴったりです。
Oracle Cloud Free Tier
無料トライアル期間中であれば、Oracle Cloudの一部サービスを制限なく使えるOracle Cloud Free Tierも、Oracle Cloud認定資格の学習に役立ちます。
30日間の無料トライアルでは、データベースの作成やアナリティクスの使用など、さまざまなサービスを利用できます。
試験範囲内のシステムやサービスを実際に構築・操作できるため、Oracle Cloud認定資格の取得を目指すうえでは積極的に活用したいところです。
なお、利用開始から30日以降も継続してアカウントを使用したい場合は、有料版にアップグレードする必要があります。
サービスの利用には申し込みが必要で、アカウントの登録時にはクレジットカード情報の入力が求められます。
ただし、ご自身で有料版へのアップグレードを行わない限り、クレジットカード情報が使用されることはありません。
Oracle Cloud認定資格の取得を目指すなら、まずはOracle Cloud Free Tierの無料トライアルを活用して、Oracle Cloudへの理解を深めましょう。
Oracle Cloud Infrastructure チュートリアル
「Oracle Cloud Free Tierを使ってみたけど、なかなかうまく操作できない……」とお困りではありませんか?
そんな方に活用していただきたいのが、Oracle Cloud Infrastructure チュートリアルです。
初学者向けの“チュートリアル入門編”から、“チュートリアル応用編”、“チュートリアル実践編”まで、充実したラインナップがそろっています。
各項に実際の操作画面のスクリーンショットが載っており、段階的に作業を進めることで、Oracle Cloud Infrastructureをひと通り学習できるようになっています。
Oracle University
Oracle Cloud認定資格の取得に向けてしっかりと知識をつけたいなら、Oracle Universityもおすすめです。
Oracle Universityは、Oracle社が提供しているトレーニングプログラムです。
Oracle Cloud Infrastructureだけでなく、DatabaseやMySQLなどの講座も動画で学ぶことができます。
1つのサービスに対して内容が細分化された動画が取りそろえられており、なかには資格試験に特化した動画もあります。
資格試験向けの動画は学習の手引きになってくれるため、Oracle Cloud認定資格の学習にはもってこいのコンテンツです。
なお、“日本語”や“JP”という記載のない講座は、英語での講座になりますが、日本語字幕を設定できるため安心です。
Oracle Cloud認定資格の取得に向けて学習する際の流れ
では、Oracle Cloud認定資格をもっともスムーズに取得するためには、どのような手順で学習を進めればよいのでしょうか。
適切な手順を踏むことで、合格に向けて一歩一歩確実に近づけるはずです。
そこでここからは、Oracle Cloud認定資格の学習方法を段階別に紹介していきますので、ご自身のペースに合わせて試してみてください。
ステップ①コンテンツで概要を理解する
どの資格を受ける場合でも、最初はコンテンツを通じてOracle Cloudの概要を理解しましょう。
Oracle Cloud Infrastructure関連資格の取得を目指す場合、前項でご紹介したOracle Cloud Infrastructure 活用資料集を使うことをおすすめします。
さまざまなサービスが掲載されていますが、まずは基本となる以下の項目を押さえるところから始めてみてください。
Oracle Cloud Infrastructure 活用資料集でまず理解したい項目
- サービス全般
- コンピュート
- ブロック・ボリューム
- オブジェクト・ストレージ
- ネットワーク
- データベース
- エッジ・サービス
同資料集のPDFや動画には、サービス全般の特徴に関する網羅的な説明をはじめとして、よくある質問への回答や技術的な問題に対する対処方法などがまとめられています。
上記の項目を読んで、Oracle Cloud Infrastructureの概要をつかめれば、基礎をしっかりと固められるはずです。
ステップ②実際に操作して理解を深める
概要を理解できたら、知識をより深めるためにOracle Cloud Infrastructureを実際に操作してみましょう。
操作に関しては、こちらも前項でお伝えしたOracle Cloud Infrastructure チュートリアルに沿って感覚をつかんでみてください。
チュートリアルでは数多くの内容が紹介されていますが、次の9つの項目を見ると、大枠を理解することができます。
Oracle Cloud Infrastructure チュートリアルで実践したい項目
- OCIコンソールにアクセスして基本を理解する
- クラウドに仮想ネットワーク(VCN)を作る
- インスタンスを作成する
- ブロック・ボリュームをインスタンスにアタッチする
- インスタンスのライフサイクルを管理する
- ファイルストレージサービス(FSS)で共有ネットワークボリュームを利用する
- オブジェクト・ストレージを使う
- クラウドでOracle Databaseを使う
- ロードバランサーでWebサーバーの負荷を分散する
上記のチュートリアルである程度の知識を身につけられたら、“Oracle Cloud Infrastructure 2024 Foundations Associate”を腕試しで受けてみるのもおすすめです。
Oracle Cloud認定資格の学習を進めるときのポイント
ここまでの説明を受けて、Oracle Cloud認定資格の学習に役立つコンテンツや学習方法はご理解いただけたのではないでしょうか。
そのうえで、合格に確実に近づくために、学習時に欠かせないポイントを押さえておきましょう。
ここでは、Oracle Cloud認定資格の学習を進める際に意識したい4つのポイントをお伝えします。
ポイント①期限を設定する
Oracle Cloud認定資格を取得するには、“いつまでに合格する”という期限の目標を明確に掲げたいところです。
期限を設定しない場合、「次の試験で頑張ればいいか」「まだまだ時間はある」と、自身をついつい甘やかしてしまう可能性があります。
せっかく資格取得を目指すのであれば、期限の目標を決めて、その目標をいち早く達成できるように逆算して行動しましょう。
また、明確な目標があるとモチベーションの維持にもつながるはずです。
モチベーションを保ちたいなら、取得を目指すOracle Cloud認定資格を決めたのちに、まずは試験を申し込んで期限を設定してしまうのも一つの手です。
家族や友人、同僚などに「この日までに資格を取得する!」と宣言するのもよいかもしれません。
ポイント②自分なりのペースで学習を進める
Oracle Cloud認定資格の学習を進める際は、継続することが何よりも大切です。
そのためには、自分なりの学習ルーティンを見つけて、徐々にペースをつかみましょう。
学習を進めるとひと口にいっても、通勤・通学時間をはじめとするすき間時間を使ったり、平日の朝や夜、または休日にまとまった時間を確保したりと、方法はさまざまです。
時間の作り方や学習に適した時間帯は人によって違うため、上記のどちらも試してみることをおすすめします。
まずは3日、1週間、そして1か月と積み重ねていくうちに、自分なりの学習ルーティンが確立できます。
ルーティンができれば、最初に設定した期限に向けて継続的にOracle Cloud認定資格の学習を進めるのみです。
ポイント③セミナーや勉強会に参加する
Oracle Cloud認定資格に限った話ではありませんが、学習を継続するには、高いモチベーションの維持も欠かせません。
ですから、自力での学習にプラスして、Oracle Cloudのセミナーや勉強会に定期的に参加し、学習のモチベーションを向上させましょう。
たとえばOracle Universityでは、“無償オンライン試験対策セミナー”というOracle認定試験の対策セミナーが定期的に実施されています。
このセミナーでは、Oracle社の講師が試験の出題傾向から試験対策、過去の問題の解き方まで具体的に解説してくれます。
セミナーに関する最新情報は、ORACLE MASTERのページで随時更新されるため、ご自身が合格を目指す試験の対策セミナーを探してみてください。
また、手軽に参加できるオンラインセミナーだけでなく、その場の雰囲気を感じられるオフラインの勉強会もおすすめです。
講師や勉強会の参加者と会話することによって、新しい気づきを得られるのはもちろん、モチベーションを高めることにもつながります。
資格取得に向けての学習時には、行き詰まってしまうことも少なからずありますから、そんなときこそ、セミナーや勉強会に参加することで気分転換を図れるはずです。
ポイント④身につけている知識と比較して整理する
すでに学んでいるクラウド(クラウドコンピューティング)があれば、そのクラウドの知識と比べながら、Oracle Cloud認定資格の学習を進めるのも効果的です。
たとえば、Amazon Web Services(AWS)をすでに学習している方が、Oracle Cloud Infrastructure関連資格の取得を目指すケースで考えてみましょう。
Amazon Web Servicesには、EC2という仮想サーバーを作成できるサービスがあります。
具体的にはOracle Cloud Infrastructureでは、ComputeというIaaS型の仮想コンピューティングのサービスに対応するといったイメージです。
また、Amazon Web ServicesのEC2では、CPUやメモリのサイズをパッケージで簡単に選択できるようになっています。
それに対して、Oracle Cloud InfrastructureのComputeにおいては、CPUやメモリをフレキシブルに変更できます。
このように、ほかのクラウドの知識と比較して関連づけながら、Oracle Cloud Infrastructureの内容を整理していくと、効率的に学習を進められるというわけです。
Oracle Cloud認定資格には多くのジャンルがあるため、正しい目標設定と学習の継続が大切
今回は、Oracle Cloud認定資格について詳しくお伝えしました。
Oracle Cloud認定資格には多くの種類がありますが、初学者におすすめなのは、基礎となるOracle Cloud Infrastructure関連資格です。
資格取得に向けて学習する際は、本記事でご紹介したコンテンツを活用しながら、実際の画面を操作してみるとよいでしょう。
また、学習を継続するためには、自分なりのルーティンを見つけたり、セミナーや勉強会に定期的に参加したりすることも欠かせません。
Oracle Cloudをこれから導入する、またはうまく運用できていない企業のご担当者様は、データベースのプロフェッショナル集団であるコーソルにご相談ください。
所属するエンジニアの多くがOracle Cloud Platformを取得しており、徹底的にサポートいたします。