データベースの一種として「RDB(リレーショナルデータベース)」があります。
ですが「そもそもなんのこと?」「何ができるのかわからない」といった方もいるはずです。
そこで、RDBについて詳しく知りたい方のため、おさえておきたい基本と使用するメリット・デメリットなどをわかりやすく紹介します。この記事を読むことによって自社に適しているのかなどもわかるようになるので、ぜひ参考にしてください。
目次
RDB(リレーショナルデータベース)とは
RDB(リレーショナルデータベース)とはどのようなものなのか概要から確認していきましょう。ここでは、特徴、構造、歴史について解説します。
RDBの特徴
まず、データベースと何かというと、あらかじめ決められた形式やルールに沿って蓄積されたデータの集合体のことです。
RDBの特徴として、まずRDBMSを使用することが挙げられます。RDBMSとは「リレーショナル・データベース・マネジメント・システム」の略であり、一元的にデータの統合や共有、制御などを行うための専用システムです。
また、RDBMSは複雑な検索や集計に対応できることから、高度なデータ処理を必要とされるような場合に活用されています。データを送付する時に使用するのは「SQL」というデータベース言語です。
RDBMSによって使われるSQLの文法が変わりますが、ベースとなっている標準SQLさえ理解しておけば応用しやすいのも特徴といえます。
それから、ACID特性を持つのも特徴です。これは、原子性(Atomicity)、一貫性(Consistency)、隔離性(Isolation)、耐久性(Durability)の頭文字を取った特性のことをいいます。これらはデータベーストランザクションの信頼性と一貫性に関する特性であることから、データの信頼性と一貫性を高めることが可能です。
RDBの構造
RDBの基本的な構造として、データはテーブル(表)で管理されることになります。そのテーブルはデータの種類ごとに区別される形になり、行と列の形式で構成されているのが特徴です。
表形式のデータ構造にすることで情報が整理しやすくなるだけではなく、抽出もしやすくなる特徴を持ちます。
テーブル形式は見なれている方が多いこともあり、データの視覚化と操作が直感的に行えるのが大きな特徴です。
RDBの歴史
RDBの概念が提唱されたのは、1970年頃のことです。IBMの研究者であるエドガー・F・コッドが提唱したものが始まりとされています。
1980年代になると広く普及するようになり、日本でも国産のコンピューターメーカーがRDBを発表したことで身近なものになり、普及していきました。
NoSQLなど他のデータベース技術を用いるケースも増えてきましたが、RDBの一貫性維持のための強みは今でも変わっていません。
RDBを使用するメリット
RDBならではのメリットにはどういったものがあるのでしょうか。代表的なメリットを3つ解説します。
メリット①データの一貫性を保てる
RDBの大きな強みとして挙げられるのが、データの一貫性を保つ働きが優れていることです。
データの重複や欠落といったものが出ることもないため、整合性が保たれます。これは、紹介したようにRDBのデータの一貫性を維持するACID特性がRDBMSにあるためです。
利用者が誰であったとしても同じデータベースに準じた最新の内容が表示されることになります。
メリット②複雑な検索や集計など高度なデータ処理ができる
RDBは、複雑な検索や集計といった高度なデータ処理を必要とすることを得意としています。その他のデータベースでは対応できないようなデータ処理も行えることから、複雑な検索・集計を必要とする場合に向いているのがメリットです。
さまざまな条件が付加されているような場合でも、SQL文を活用することにより対応できます。
メリット③データ処理の追加コストを抑えられる
運用していく中で、新規の追加や削除、更新といった処理が必要になることがあります。この際、複雑な作業を必要とする場合は、データ処理の追加コストが高くついてしまいますが、既存のデータベースに新しくテーブルを追加する形で対応可能です。
テーブルの追加にはそれほど高い費用はかかりません。そのため、データ処理の追加コストを抑えられるのもメリットです。運用を検討するにあたり、できるだけコストをおさえたいと考えている場合にも向いています。
RDBを使用するデメリット
RDBの利用について検討しているのであれば、どのようなデメリットがあるのかも確認しておきましょう。よく理解しておきたいデメリットを3つ解説します。
デメリット①データの容量が増えると処理速度が遅くなる
RDBは大量のデータを更新したり、削除などを行ったりする際には処理速度が遅いデメリットを持ちます。そのため、データが大容量になっていく場合は向いていないこともあるので注意が必要です。
運用を始めたばかりの時期はそれほどデータ量が多くなかったとしても、将来的に膨大なデータを取り扱う可能性がある場合はRDBで問題ないのか検討しなければなりません。
また、プログラムが複雑になった場合も同様に処理速度が遅くなる可能性があります。そのため、処理速度を重視しなければならないようなケースは、その他のデータベースも含めて検討することが重要です。
デメリット②データベースを拡張しにくい
RDBは拡張を得意としていません。これは、原則1台のサーバーで実行されるように設計されていることが主な理由です。
システムの拡張が不可能なわけではないのですが、その場合は非常に専門性の高い知識が必要で時間もかかるほか、高価なハードウェアを購入する必要が出てきます。拡張を行う可能性がある場合はよく確認しておかなければならないポイントです。
デメリット③音声や映像などのデータに対応できない
RDBで取り扱えるのは、テキストデータのみです。そのため、音声や映像、画像といったデータには対応できません。
文字列や数値のみを取り扱うのであれば問題ありませんが、それ以外のものを挿入できないことに注意が必要です。
ただ、テキスト以外のデータは他のところに保存し、RDBの表にはそのURLやファイル名の情報を保管して管理するといったことはできます。
RDBが適しているシーン
RDBはどのようなシーンで適しているのでしょうか。大きな特徴として挙げられるのが、データの整合性や一貫性が保たれていることです。
そのため、データの完全性が要求される状況には非常に適しています。
例えば、金融システムなどでは非常に正確性が重要です。他にも、確実な管理を行わなければならない在庫管理などでも活躍します。
それから、複雑な検索や集計が必要になるシーンにも適したデータベースです。高度なデータ処理が可能であるため、複雑な処理を効率的に行いたいと考えている場合にも適しています。
RDBとほかのデータベースの違い
自社に RDB が適しているか判断しかねている方もいるのではないでしょうか。そこで、その他のものとはどういった違いがあるのかわかりやすく解説します。
自社で導入するにはどれが良いか判断するためにも役立ててみてください。
【関連記事】:データベースの種類は?役割やメリット・課題について詳しく解説
RDBとNoSQLの違い
RDBとの競争が激化しているものとして「NoSQL(ノーエスキューエル)」が挙げられます。「Not only SQL」を略したものであり、名前からもわかるようにSQLを使用することなくデータを操作できるのが特徴です。
SQLはデータベース言語の中でも特に普及している言語であり、RDBはSQLを使用しています。RDBMS以外のデータベースがNoSQLです。
RDBとNoSQLの大きな違いとしてSQLを使用するか否かが挙げられます。RDBはデータが大容量になると処理速度が遅くなりますが、NoSQLは大容量データにも強いのが特徴です。
また、拡張性においても優れています。RDBでは取り扱えない音声や映像、画像といったものも取り扱うことが可能です。例えば、オンラインゲームやSNS分析、IoTのシステムなどで活用されています。
ただ、RDBと比較すると高度な検索にはそれほど強くありません。
このようにさまざまな違いがあり、適しているシーンも異なります。そのためRDBとNoSQLのどちらかが優れているとは言えず、目的に合っている方を導入することが重要です。
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RDBとオブジェクト指向データベース(OODB)の違い
オブジェクト指向データベース(OODB)とは、オブジェクト指向プログラミングの技術を取り入れているデータベースのことです。直接オブジェクト指向言語が扱うオブジェクトを収納できる特徴を持ちます。
例えば、データと、そのデータの処理方法をまとめて定義し、管理が可能です。
多くのOODBでは、データベース上のデータ構造(スキーマ)を事前に定義する必要はありません。一方、RDBはデータ間の関連性を明示的に定義するといった違いがあります。
テーブルを使ってデータの管理を行い、スキーマの定義も必要です。RDBはデータの整合性や一貫性といったものを重視する場合に適しているのに対し、OODBはオブジェクト指向プログラミングと密接な連携が必要になる場合などに適しています。
また、OODBは複雑なデータ構造の高速処理が可能です。テキストのほかに音声や動画といったものが混在しているデータを管理する場合などもOODBが向いています。
RDBと階層型データベースの違い
階層型データベースとは、家系図のようなツリー構造でデータ管理を行う種類のデータベースのことをいいます。これに対し、RDBは表形式でデータの管理を行うのが大きな違いです。
データ管理の方法が異なることにより違いが出ることとして、データへアクセスする際の速度があります。
階層型データベースは特定情報の集まりであるノードと呼ばれるもので情報を蓄積しているのが特徴です。親ノードが複数の子ノードを持っており、子ノードが持つのは1つの親ノードとなります。
ノードの親子関係が明確であるため、処理速度が速くなるのが特徴です。ただし、複数の親ノードにつながるデータがある場合は、それぞれ親ノードを作らなければなりません。
これによりデータが冗長になりやすいデメリットを持ちます。
RDBは階層型ほどデータへアクセスする際の処理速度はありませんが、データの追加・削除は容易に行うことが可能です。階層型の場合は途中で発生した追加や削除といったものを行うと親ノードから子ノードへのルートが変わってしまうため、追加・削除は難しいといえます。
RDBとネットワーク型データベースの違い
ネットワーク型データベースは、階層型とは異なり子ノードが複数の親ノードを持てるタイプのデータ構造をしています。子ノードは複数の親ノードを持てるため、データを重複して登録する必要はありません。
一方でRDBはテーブル間の関係性を用いる形でデータを管理するものであるため、データ管理の方法が異なります。
ネットワーク型データベースは、ノード間の移動や検索速度に優れているのが特徴です。データの重複もないことから階層型と比較すると検索速度が速くなります。
ただ、必要なデータを検索するためには、検索する人自身がデータの構造について理解しておかなければなりません。そのため、専門性を必要とするのも特徴です。
デメリットとして、階層型と同様に途中でデータの追加や削除を行った場合は、子データへのアクセスルートが変わってしまうことが挙げられます。一方でRDBのデメリットとして挙げられるのが、構造の変更が難しいことです。
それぞれの特徴をよく理解した上で適したものを選択する必要があります。
代表的なRDBMS
RDBでは、RDBを管理・操作するための専用システム「RDBMS」を使用します。このRDBMSにはどのような種類があるのかも確認しておきましょう。代表的なのは、以下の4つです。
【代表的なRDBMS】
- Oracle
- MySQL
- SQLServer
- PostgreSQL
Oracleは、Oracle社が提供しているRDBMSです。シェア率が非常に高く、大規模なシステムで多く利用されています。
世界初の商用RDBMSであり、これまで長年にわたる実績があるのも特徴です。そのため、実績重視で検討したい場合にも向いているでしょう。
MySQLはオープンソース型のRDBMSであり、無償で利用できるコミュニティ版が広く利用されています。こちらはWebシステムで広く使用されているのが特徴です。
SQLServerは、Officeシリーズでもおなじみマイクロソフト社の製品です。Windows上で動くシステムで使用されることが多く、特に中小企業から選ばれています。マイクロソフト社製であることも関係し、Windows環境でよく利用されるRDBMSです。
PostgreSQLは「ポスグレ」や「ポストグレス」の呼び名でも知られており、CやC++、Java、Pythonといったプログラミング言語のほか、Unix系にも対応しています。オープンソースソフトウェアです。Webシステムで多く使用されています。
自社に適したデータベースを選択することが重要
いかがだったでしょうか。リレーショナルデータベースとは何かわかりやすく紹介しました。基本的なことや使用するメリット、デメリットなどもご理解いただけるかと思います。
まずはRDBの特徴を理解し、自社に合っているのか検討をすることが重要です。
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