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渡部です。Oracle Database 19cはOracle Databaseを利用してゆくにあたって非常に重要なリリースです。 いくつかの観点から、Oracle Database 19cの位置づけについて整理しておきます。
19cは、年次リリースモデルにおける"Long Term Release"として位置づけられ、他のリリースよりもPremier Supportの期間が長いです。また、3年間のExtended Supportが提供されます。
現在存在するLong Term Releaseは、19cのみです。 このため、Oracle Database 11g/12cからの移行先リリースは、原則的に19cに限定されます。
年次リリースモデルについては、以下の資料を参照ください。
また、コーソルカナダ ブログの以下の記事も有用です。
Long Term Release(19c)とInnovation Release(19c以外)のサポート期間を比較します。
Long Term Release Innovation Release
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Premier Support 5年間 2年間
Extended Support 3年間 なし
2020年7月時点で予定されている19cのサポート期間は以下の通りです。
また、少し細かい話をすると、オラクル製品のサポート期間は無期限です(= "Oracle Lifetime Support")。サポート期間が有限なのは、Premier Supportです。
Oracle Database 12cから、データベース統合技術としてマルチテナント機能が導入されました。
それ以降、従来型構成(非マルチテナント構成、非CDB構成)と新しいマルチテナント構成(CDB構成)が併存する形にありましたが、 Oracle Database 19cはマルチテナント構成に向けた動きにつながる、転機となるリリースになりそうです。
従来、PDBを複数個ホストするマルチテナント構成には、有償のマルチテナントオプションが必要でした。 このため、マルチテナントオプションを未購入のEnterprise Editionや、そもそもマルチテナントオプションを使用できないStandard Edtiion 2では、PDBを1個だけホストするシングルテナント構成か、従来からあるいわゆる通常のシングル構成(非CDB構成)しか使用できませんでした。
しかし、19cから、Standard Edition 2やマルチテナントオプションを未購入のEnterprise Editionにおいても、PDB数が3に限られますが、マルチテナント構成が許されました。
19c Standard Editionで最大3つのPDBが作成可能に!
これは、オラクル社の新しいマルチテナント構成をPUSHする動きの一環と考えられます。
以前から、いわゆる従来型のデータベースである、非CDB構成("Non-CDB" / 非マルチテナント構成)のデータベースは「サポート終了を予定している」とのアナウンスがなされていましたが、とうとうOracle Database 20cでのサポート終了が明らかになりました。
Starting with Oracle Database 20c, installation of non-CDB Oracle Database architecture is no longer supported.
当然のことながら、Oracle Database 11g以前に作成されたすべてのデータベースは非マルチテナント構成ですから、 非マルチテナント構成のデータベースのサポート終了は実務的にかなりインパクトがあります。
ここで、マニュアルの記載を注意深く読むと、サポート終了の対象は "installation of non-CDB Oracle Database architecture"であることに気づきます。
Starting with Oracle Database 20c, installation of non-CDB Oracle Database architecture is no longer supported.
より詳細な情報は、Oracle Database 20cの正式リリース後に展開されるかとは思いますが、個人的には、以下の様な形で落ち着くのではと考えています。
もちろん、この見解は私個人の推測です。実際のところはOracle Database 20cの正式リリース後の情報をお待ちいただければと思います。
Oracle Database 19cからStandard Edition RACが廃止されました。 このため、現在SE-RACを使用しているか、SE-RACの高可用性を求めるユーザーは、以下のいずれかの選択肢を取る必要があります。
個人的にオススメなのは、SE-RACに準ずる高可用性ソリューションを使用する方法です。
Oracle Database 19cを長期間安心して使用するには、Oracle Databaseを稼働させるOSも今後長期間サポートが予定されているOSを使用すべきです。
Oracle Database 19cは以下のOSに対応しています。
なお、最新OSに対応する一方で、古いOSはサポート対象外になっています。
19cで導入された主な新機能については、以下の発表資料でまとめています。(一部新機能ではない注目ポイントも含む)
「Oracle Database 19cの注目ポイント 15」発表資料公開 – JPOUG in 15 minutes #8
上記資料に記載していない新機能としては、以下があります。
19c新機能 SEHA / GIベース シングルHA構成 – SE2-RAC廃止対応
有償オプションまたは上位Editionでしか使用できなかったいくつかの機能が、ライセンス緩和により有償オプションなしで、または全Editionで使用可能になっています。
VM作成からのOracle 19cインストール手順 前編(Linuxシングル)
VM作成からのOracle 19cインストール手順 後編(Linuxシングル)
19cのDBUAを使用すると、データベースを直接アップグレードできます。 ただし、対応するリリースは限定されています。
19cへの直接アップグレード対応するリリースは以下の通りです。
上記リリースよりも古いリリースの場合、そのリリースから、まず11.2などのリリースに一旦アップグレードしてから、さらに19cにアップグレードにする手順を踏む必要があります。
DBUAを用いたアップグレードでは、アップグレード処理中はデータベースにはアクセスできません。 ロジカルレプリケーション製品を使用すると、アップグレード処理に伴うダウンタイムを短縮できます。
弊社では、以下の点からOracle DatabaseのアップグレードにはSharePlex for Oracleをオススメしています。
Oracle 19cへの移行/アップグレードにSharePlexをお勧めする理由
Dbvisit Standbyは、Oracle Database Standard Edtition 2向けの災害対策向けスタンバイDBを構築・運用するソフトウェアです。Oracle Data Guardに相当するソリューションです。
Dbvisit Standbyは、2020年7月時点の最新バージョン9および、1つ前のバージョン8でOracle Database 19cに対応しています。
SharePlex for Oracleは、Oracle Database → Oracle Database という構成のロジカルレプリケーション(論理レプリケーション)を実現する製品です。
SharePlex for Oracleは、2020年7月時点の最新バージョンSharePlex 9.4.0でOracle Database 19cに対応しています。
コーソルでは、以下の点を重視するお客様にSharePlexをお勧めしています。
Qlik Replicate(旧名Attunity Replicate) は、多くのデータベース製品間でのロジカルレプリケーション(論理レプリケーション)を実現する製品です。 Qlik Replicateは、April 2020 (version 6.6) でOracle Database 19cに対応しています。
SIOS LifeKeeperはいわゆるHA構成を実現するためのクラスタリングソフトウェアです。
LifeKeeper for Linuxは、v9.3.2以降でOracle Database 19cに対応しています。
LifeKeeper for Windowsは、v8.7.0 以降でOracle Database 19cに対応しています。
Toad for Oracle 13.2以降で対応しています。
MaxGauge for Oracle V5.3.J5以降で対応しています。